サーキュラーエコノミーとは?5つのビジネスモデルを完全解説

「サーキュラーエコノミー」とは、「使い捨て」をなくして、できるだけモノを大切に繰り返し使っていこう、という新しい経済の仕組みです。
 
最近よく耳にする「SDGs」や「環境問題」とも深く関連していて、世界中で注目を集めています。
 
一方で、今までの「作って、使って、捨てる」というシステムを変えるには、それなりのお金も時間もかかります。
 
本記事では、サーキュラーエコノミーの基本的な考え方から「三菱ケミカル」の成功事例まで、初心者でも理解しやすいように解説していきます。
 

サーキュラーエコノミーとは?リサイクルとの違い

  サーキュラーエコノミーとは、私たちが使う資源を可能な限り循環させて、廃棄物を出さないことを目指す新しい経済の仕組みです。
 
一方、普段私たちが行っているリサイクルは、その一部分に過ぎません。
 
従来の経済システム(専門用語で「リニアエコノミー」や「直線型経済」)では、以下の流れになっていました。
 

  1. 資源を地球から採取する
  2. 製品を作る
  3. 使用して消費する
  4. 使い終わったら捨てる

 
この方法では大量の廃棄物が出てしまい、環境への負荷も大きくなってしまいます。
 
そこで注目されているのが、サーキュラーエコノミーです。
 
サーキュラーエコノミーのポイントは、製品を作る段階から再利用できる設計になっています。
 

サーキュラーエコノミーが注目される理由

 

石油や天然ガスなど有限資源の枯渇

私たちの生活は、化石燃料に頼っています。ガソリンや都市ガスはもちろん、電気を作るのにも使われているんです。
 
これらの資源には「採掘可能年数」という考え方があります。
 
分かりやすく言うと、「あとどれくらい使えるの?」ということですね。
 
石油の場合、今のペースで使い続けると、あと50年くらいで採れる量が極端に減ってしまうと言われています。
 
また、世界の人口が増え続けているのに加えて、インドや中国といった国々の経済発展で、資源の使用量がどんどん増えている状況です。
 

サーキュラーエコノミー導入でCO2排出量45%削減が可能

従来の「作って、使って、捨てる」のやり方では、地球の資源がどんどん減っていって、環境も悪化する一方です。
 
とりわけ気になるのが、温室効果ガス(温暖化の原因となる二酸化炭素などのガス)の排出量です。
 
エレン・マッカーサー財団の調査によると、再生可能エネルギーの利用や省エネだけでは、温室効果ガスの削減は55%が限界だそうです。
 
残りの45%は、製品を作ったり使ったりする過程で出てくるものなので、資源を繰り返し使う「循環」の仕組みが必要になってきます。
 

サーキュラーエコノミー5つのビジネスモデル

 

再生可能・生分解性素材の採用で資源循環を設計段階から組み込む

「サーキュラーエコノミー」では、製品を作る段階から「どうやって再利用できるか?」「どうすれば長く使えるか?」といったことを考えて設計します。
 
スマートフォンの部品を再利用しやすい設計にしたり、こういった工夫を重ねることで、資源の問題や廃棄物の課題解決が広がってきているんです。
 

シェアリングプラットフォーム:資産の共同利用による稼働率向上

シェアリングプラットフォームでは、「車は必要だけど、毎日は使わないな」「電動工具を買いたいけど、たまにしか使わない」こういった悩みを解決してくれます。
 
私たちが家庭で持っているモノの約80%は、月に1回程度しか使っていないというデータがあるんです。
 
あまり使われていないモノを、必要な人と共有できる仕組みがあれば、次のようなメリットが生まれます。
 
 
 

サービスとしての製品(PaaS):所有から利用へ転換する従量課金

サービスとしての製品(PaaS)は、製品を「持つ」から「使う」という新しい考え方です。
 
必要な時だけ利用できるので、製品の無駄な待機時間が減って、効率よく使えます。
 
また、料金体系も使った分だけ支払う「従量課金制」を採用しています。
 
企業側から見ても、お客様との長期的な関係が築けて、安定した収入が見込める仕組みです。
 
身近なところでは、車を持たなくても、必要な時だけ借りられるサービス(カーシェアリング)がわかりやすいと思います。
 
これらのサービスのおかげで、私たちは「所有」にとらわれず、資源を効率よく使えるようになってきました。
 

製品寿命延長:修理・再製造で価値維持

製品寿命延長は、修理しやすい設計にすることで、壊れてもすぐに捨ててしまうのではなく、直して使い続けることができます。
 
製品寿命延長は、新しい製品を作るために必要な資源やエネルギーの節約にもつながるわけですね。
 
また、企業側のメリットは修理サービスやアップグレードプログラムを提供することで、企業は継続的な収入を得ることができます。
 
こうしたサービスを通じて、お客様と企業の接点が増えることで、「この会社の製品は安心して長く使える」という信頼関係が築かれていきます。
 
その結果、ブランドへの愛着も深まり、企業の市場での競争力向上にもつながっているんです。
 

回収・リサイクル:廃棄物を新資源化

サーキュラーエコノミーでは、一度使ったものを「ゴミ」として捨てるのではなく、新しい製品の材料として生まれ変わらせる仕組みを構築しています。
 
まさに、「捨てる」から「循環させる」への大きな転換です。
 
身近なプラスチック製品では、使い終わったら捨てられていたプラスチックですが、「ケミカルリサイクル技術」を使うと、石油化学原料によりプラスチックの原料に戻すことが可能です。
 

プラスチック循環技術を確立した三菱ケミカルの成長性

三菱ケミカルでは、茨城事業所に建設された設備により、年間2万トンものプラスチックを処理しています。
 
規模としては国内最大級です。
 
茨城事業所では「Hydro-PRT®」という最新技術を使って、高品質なリサイクル油を作り出しています。
 
さらに興味深いのは、ブロックチェーン技術を使った新しい取り組みです。
 
ブロックチェーン技術は、リサイクル製品の「履歴」を正確に追跡できるシステムです。
 
このシステムによって、製品の安全性や品質をしっかりと確認できるようになっています。
 
このような取り組みは、環境問題の解決だけでなく、企業としての成長にもつながっているようです。
 
実際、市場の専門家たちからも高い評価を受けており、2025年2月時点では、今後の株価上昇が期待されているとの見方が強いです。
 
参照:
MINKABU|三菱ケミカルグループの証券アナリスト予想
 

まとめ

サーキュラーエコノミーは、従来の「採取→製造→廃棄」という一方通行の経済システムを見直し、資源を循環させる新たな経済モデルです。
 
このアプローチにより、CO2排出量を45%削減できる可能性があり、環境保全と経済成長の両立が期待されています。
 
「三菱ケミカル」は年間2万トンの処理能力を持つ廃プラスチック油化設備を導入し、環境問題解決と事業成長を実現しています。
 
今後は、再生可能素材の採用やシェアリングエコノミーの拡大など、より多様なビジネスモデルの発展が見込まれるでしょう。

しかし、「どの企業に投資すべきか」「タイミングはいつなのか」これらの判断には専門的な知見が必要です。

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