地方創生ビジネスモデル完全ガイド!成功事例も解説
地方創生とは、人口減少や経済の衰退に直面する地方を、その土地ならではの資源や特色を最大限に活かして、新たな活力を生み出す取り組みです。
とりわけ、デジタルマーケティングを駆使した特産品のブランド化や、豊かな自然環境を活かしたサテライトオフィスの誘致など、革新的なビジネスモデルが各地で実を結んでいます。
しかしながら、依然として東京一極集中の流れは続いており、特に将来を担う15-29歳の若年層の流出が年々深刻さを増している状況です。
本記事では、高知県馬路村や徳島県神山町などの成功事例も紹介し、地方創生ビジネスへの投資機会を解説します。
地方創生の現状と課題
人口減少と高齢化が深刻な課題
地方では出生率の低下により、人口減少と高齢化が急速に進行しています。
これにより、労働力不足や地域経済の縮小が顕著になり、医療や介護などの基本的な社会サービスの維持すら困難になる地域が増えています。
特に深刻なのは、高齢者の増加と同時に支え手となる現役世代が減少している点です。
この人口構造の変化により、社会保障制度や医療・介護体制への負担が年々増大しています。
日本全体で人口減少が進む中でも、地方部では高齢化のペースが特に加速しています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、日本の総人口は2070年までに9,000万人を下回り、高齢化率は38.7%に達するとされています。
「出典:高齢化の推移と将来推計(内閣府)」
多くの人が東京に移り住むことで、地方の経済が縮小している
東京圏への転入超過数は、新型コロナウイルス感染症の流行期に一時的に減少したものの、現在では回復傾向を示しています。
この人口集中は、地方における若手人材の流出や生産年齢人口の減少を招き、地域経済の縮小や公共サービスの低下など、地方創生に向けた取り組みを大きく阻害しています。
東京圏への継続的な人口流入の背景には、質の高い雇用機会と多様な教育機会の東京圏への集中です。
とりわけ、15~29歳の若年層の流入が顕著であり、地方における就職や進学の選択肢が限られていることが主な要因です。
また、大手企業の本社機能や有力大学の集中が、若者の進路選択に影響を与えています。
2023年の統計では、東京圏全体での転入超過数は68,285人となり、そのうち15~29歳の転入超過数は103,201人と過去最多を記録しました。
「出典:国の施策等に関する 提案・要望書 (鳥取県・とりネット)」
都市部に比べて給与水準が低いことが若者の地方離れを加速
現在、東京圏と地方圏の間には時給で約500円もの賃金格差が生じており、この差は主に労働生産性の違いに起因しています。
地方経済は中小企業が中心となっており、相対的に低い労働生産性が賃金水準を押し下げているのが現状です。
加えて、産業の多様性に乏しく、専門性の高い職種や高収入が期待できる雇用機会が限られていることも大きな課題となっています。
このような状況から、地方の若い世代を中心に、仕事やキャリアアップの機会を求めて都市部への移動が加速中です。
この人材流出は、地方経済の活力低下につながり、さらなる格差拡大を招くという悪循環を生み出しています。
地方創生の新たなビジネスモデルの特徴
その土地ならではの魅力(自然や文化、特産品)を活かしたビジネス
地方創生の取り組みにおいて、地域資源の活用が注目を集めています。
その理由として、地域資源にはその土地でしか得られない希少性や独自性があり、地域資源を活用することで他地域との差別化が図れるからです。
さらに、地元住民との協働や雇用創出も可能となり、地域全体の持続可能な発展に寄与します。
このような地域資源活用の成功例として、高知県馬路村の取り組みが挙げられます。
馬路村では、特産品である「ゆず」を使った商品開発や観光施設の整備により、村全体をブランド化することに成功しました。
この戦略的な取り組みにより、観光客誘致と地元産業の発展を同時に実現しています。
「出典:馬路村農協【公式通販】」
インターネットを使って場所を問わず仕事ができる環境づくり
デジタル技術の進展により、場所を問わず都市部の企業や専門人材のノウハウを地方で活用できるようになりました。
この変化は、都市と地方、大企業と中小企業の距離を縮め、両者の連携による新たなビジネス機会を生み出しています。
また、テレワークやサテライトオフィスの普及は、都市部に住む人々の働き方に大きな変化をもたらしました。
従来の「移住=転職」という図式から解放され、「転職なき移住」という新しいライフスタイルが実現可能になっています。
環境に優しい方法でビジネスを行う取り組み
環境に配慮したビジネスは、地域の課題解決と経済発展の両立を可能にします。
地域固有の資源を活用した再生可能エネルギー事業は、環境保全と経済循環の好循環を生み出します。
その代表例が、岡山県真庭市の「真庭バイオマス発電所」です。
真庭バイオマス
発電所では、地域の森林資源から発生する間伐材や製材端材を燃料として有効活用しています。
結果、年間7920万kWhの電力供給を実現し、地域の電力自給率を100%以上に引き上げただけでなく、約23億円の売電収入をもたらしました。
「出典:バイオマス発電を支える地域の木材と運転ノウハウ (自然エネルギー財団)」
地方創生ビジネスの成功事例
徳島県神山町:独自の発想と地域資源を活用した戦略
神山町の地方創生が成功した理由は、「創造的過疎」という逆転の発想にあります。
これは、人口減少を前提としながらも、移住者の質を重視し、新しい価値をもたらす人材を呼び込むという考え方です。
単なる人口増加による量的な成長ではなく、町の文化的・経済的な豊かさを高めることを目指した結果、持続可能な地域づくりの先進モデルとして全国から注目を集めています。
2004年からは光ファイバー網の全町整備に着手し、デジタル環境の充実を図りました。
この基盤整備により、2010年代にはIT企業のサテライトオフィス誘致が本格化し、現在では50社以上の企業やクリエイターが町に活動拠点を構えています。
沖縄県久米島町:地産地消を促進するオンラインショップの開設
久米島町の取り組みとして、地元農産物の地産地消を促進するオンラインプラットフォームを構築しました。
このシステムにより、地元農家とホテル・レストランの直接取引が可能となり、従来の複雑な流通経路による農作物廃棄の課題を改善しています。
その結果、農家一戸あたり月平均約4,000円の収入増加を実現し、地域農業の活性化にもつながりました。
「出典:久米島の旅あそび」
こうしたデジタル化の一環として、久米島町は全島公衆Wi-Fi網の整備にも着手しています。
具体的には、観光スポットでの拡張現実(AR)ガイドの提供により、観光体験の付加価値を高め、観光客数の着実な増加を実現しました。
このように、地域固有の資源とICT技術を効果的に組み合わせた久米島町の取り組みは、日本の地方創生モデルとして高い評価を受けています。
「地域資源の活用」と「持続可能な発展」の両立という観点から、多くの自治体の参考事例となっています。
まとめ
今回は、地方創生の実現に向けたビジネスモデルと成功事例について解説しました。
各地の事例から見えてきた成功のポイントは以下の3つです。
- 地域固有の価値の再発見
- テクノロジーの効果的活用
- 環境・社会との調和
地方創生の動きは、地域経済の活性化だけでなく、新たな投資機会としても注目を集めています。
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