メタバースによるビジネスの活用と2025年以降の市場予測

メタバースとは、インターネット上に構築された3次元の仮想空間で、アバターを通じて他者と交流し、経済活動や娯楽を楽しめるデジタルプラットフォームです。
 
コロナウイルスの拡大によるリモートワークの普及と、AppleやMetaなど大手IT企業の参入により、メタバース市場は急速に成長しました。
 
一方で、ハードウェアの高コストやコンテンツの不足といった課題も存在します。
 
本記事では、メタバースの基本概念から市場予測、ビジネス活用事例まで、投資家向けに分かりやすく解説していきます。
 

メタバースが注目される4つのポイント

① オンラインコミュニケーションの普及

オンラインコミュニケーションが急速に普及した背景には、新型コロナウイルス感染症の拡大によるリモートワークへの移行があります。
 
この変化にともない、従来のツールでは実現できない対面でのような交流を求める声が高まりました。
 
メタバース内でのコミュニケーションは、アバターを通じて行われ、表情やジェスチャーなど、対面のような自然な会話が可能です。
 
ビデオ会議では一方通行になりがちな会話も、メタバースでは参加者が立体的な空間を共有しながら、より活発な議論を展開できます。
 

② Apple・Metaなど大手IT企業の参入

MetaはVR(仮想現実:現実とは異なる完全な3D世界に没入する技術)を基盤とし、新たな仮想世界を目指しています。
 
2021年に社名を「Meta」に変更して以来、約1000億円超を投資し、没入型ヘッドセット「Quest」シリーズやソーシャルVR空間「
Horizon Worlds」を展開。
 
特に若年層のユーザーを中心に、新しいコミュニケーション体験を提供しています。
出典:Meta Horizon Worlds  
対照的に、AppleはAR(拡張現実:現実世界にデジタル情報を重ねる技術)に注力し、「Vision Pro」を通じて物理空間とデジタル要素をシームレスに統合する体験を実現しています。
 
8K相当の高解像度ディスプレイ、視線やジェスチャーによる直感的な操作性を特徴とし、顔認証による厳格なプライバシー保護や、アプリケーション毎のデータアクセス制限など、ユーザーの情報管理を重視した設計となっています。
 

③ 10-20代の利用者増加

総務省の調査によれば、メタバースの認知度について「知っている」「なんとなく内容や意味を知っている」「言葉は聞いたことがある」との回答が6割を占め、30代では68.0%と最も高い結果となりました。
出典:総務省|「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」
 
代表的な例として、オンラインゲーム「フォートナイト」(バトルロイヤル型ゲーム)や「ロブロックス」(ユーザー制作型ゲームプラットフォーム)といったゲーム型メタバースが挙げられます。
 

④ VRゴーグルなど関連機器の性能向上と普及

VR/ARデバイスは、従来の製品と比べて大幅な小型化・軽量化が進み、一回の装着時間が2倍以上に延びるなど、ユーザー体験は着実に向上しています。

 
これにより、仮想空間への参加のハードルが下がり、メタバース(仮想現実空間)は私たちの生活により自然に溶け込んでいくでしょう。
 
さらに、価格面でも従来の半額程度まで低下し、より多くの人々が手に取りやすい環境が整いつつあります。
 

メタバースによる現状とこれからの市場予測

令和5年版情報通信白書では、世界のメタバース市場が2022年の655.1億ドルから2030年には936.57億ドルへと拡大すると予測しています。
 
教育やビジネス分野での活用が進み、ユーザー数は2022年の約2億人から2030年には約7億人まで増加する見込みです。
 
VR/AR技術の進化や5G通信の普及を追い風に、メタバース市場は教育、医療、エンターテインメントなど幅広い分野で革新的な発展を遂げています。
出典:「令和5年版情報通信白書」(総務省)
 

メタバースによるビジネスの活用事例

ナイキが作った仮想スポーツ空間「NIKE LAND」

「NIKE LAND」は、Robloxが提供するゲームプラットフォーム上に構築された「マイクロメタバース」(小規模な仮想空間)です。
 
この空間では、ユーザーがナイキ製品を自身のアバターで試着できるだけでなく、スマートフォンと連動して現実の運動データをゲーム内にリアルタイムで反映しています。
 
そのため、バーチャル空間での活動を通じて、より健康的なライフスタイルを促進しています。
 
ゲーム内では、誰もが楽しめるミニゲームを提供しており、プレイを通じて獲得したリボンやメダルは、限定アバターアイテムと交換できます。
 
さらに、NBAスター選手とのイベントも開催しました。
 
その結果、サービス開始からわずか半年で224カ国から700万人以上が訪れる人気コンテンツへと急成長を遂げています。
 

渋谷の街を再現したバーチャル空間「バーチャル渋谷」

「バーチャル渋谷」は2020年5月、KDDIや渋谷区観光協会などが主導する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」の一環として誕生しました。
 
プラットフォームには3D仮想空間「cluster」を使用し、スマートフォンやPCから手軽にアクセスできます。
 
具体的な活用例として、2020年のバーチャル渋谷ハロウィーンフェスは、延べ40万人以上が参加する大規模イベントとなり、コロナ禍でのリアルな渋谷に代わる交流の場として役割を果たしました。
 

コインチェックが作る仮想都市「Oasis TOKYO」

「Oasis TOKYO」は、2035年の近未来都市を舞台に、NFTやWeb3技術を駆使して新たな可能性に挑戦するメタバースプロジェクトです。
 
多様なコミュニティの形成と、革新的なビジネス機会を通じて、デジタルとリアルが融合する未来の都市像を描いています。
 
このプロジェクトは、暗号資産取引所のコインチェックとメタバースプラットフォーム「The Sandbox」による共同開発から生まれました。
 
さらに、NFTマーケットプレイス「Coincheck NFT」との連携により、土地やデジタルアートの取引が可能となり、新たな経済圏の形成を促進しています。
 

バーチャルショッピングを提供している、「三越伊勢丹」の成長性

三越伊勢丹が展開するメタバースプラットフォーム「REV WORLDS」は、バーチャルショッピングを通じて新たな顧客体験を提供しています。
 
「REV WORLDS」では、実店舗の販売員を3Dスキャンして作成したアバターによる接客や、アバター同士での交流機能により、仮想空間でのリアルな対話が可能です。
 
これにより、従来のECサイトでは実現できなかった「人とのつながり」を感じられる購買体験を創出しています。
 
従来の百貨店業界では、若年層の関心低下やEC化による体験価値の希薄化が課題でした。
 
「REV WORLDS」は、リアルとデジタルを融合させた新しい購買体験を提供することで、これらの課題解決に取り組んでいます。
出典:メタバースアプリ「REV-WORLDS」|三越伊勢丹オンラインストア・通販【公式】  

まとめ

今回は、メタバースによるビジネス活用と市場予測を解説しました。
 
2025年のメタバース市場は急速に成長し、1036億ドル規模に達すると予測されています。
 
成長を裏付ける具体例として、NIKEの仮想空間「NIKE LAND」が2022年3月までに224カ国から700万人以上の訪問者を集めた実績があります。
 
今後は若年層の利用増加が期待され、Z世代の約40%が既にメタバースを利用している点から、さらなる市場拡大が見込まれるでしょう。
 
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