少子高齢化がもたらす4つの成長市場と新たなビジネスチャンスを解説

一方、65歳以上人口は総人口の約29%に達しており、医療・介護サービス、高齢者向けEC市場、シニア向け住宅、モビリティサービスなど、新たな成長市場が拡大しています。
また、交通弱者の増加や介護人材の不足など、高齢化にともなう社会課題も深刻化しています。
本記事では、日本の少子高齢化が生み出す新たな市場機会と課題について、具体的な事例を交えながら解説していきます。
日本における少子高齢化とは?その原因と進行状況

出生率低下の要因は以下によるものが挙げられます。
- 晩婚化や非婚化の進行
- 子育ての経済的負担感
- 仕事と育児の両立の難しさ
また、高齢化の進展には、医療技術の進歩や生活水準の向上による平均寿命の伸びが関係しているでしょう。
日本の合計特殊出生率は1.20と過去最低を記録し、東京都では0.99と1を下回りました。
15歳未満人口は1424万人(総人口の約11.5%)にまで減少し、生産年齢人口も継続的な減少傾向にあります。
一方で65歳以上人口は3622万人(約29%)に達し、特に医療・介護ニーズの高い75歳以上の後期高齢者が増加しています。
少子高齢化による4つの市場変化

人口構造の変化:2025年には全人口の約30%が高齢者になる
統計によれば、65歳以上の高齢者人口が約3,657万人に達し、総人口の30.3%を占めることが見込まれています。注目すべきは、75歳以上の後期高齢者の増加により、医療・介護サービスへの需要が従来以上に高まることです。
団塊の世代が75歳以上となる2025年以降は、労働力人口の減少と社会保障費の増大への対応が求められています。

消費の中心が「若年層」から「高齢者層」へとシフト
少子高齢化が進む日本では、高齢者層の安定した収入を背景に、医療や介護、旅行、趣味といった分野での支出が増加しています。このような高齢者層は年金や貯蓄、資産運用などによる安定した収入を持つことが多く、現役世代に比べて消費意欲が高い傾向です。
また、時間的余裕もあるため、趣味や旅行、健康維持への投資を積極的に行うことが特徴です。
そのため、高齢者市場は日本国内で数兆円規模に達しており、今後も拡大が見込まれています。
食料品や健康食品のEC化率が伸びてきている
高齢者は移動の負担を軽減できるオンラインショッピングを利用しやすい環境を求める傾向にあります。2020年以降のコロナ禍において、非対面型の購買行動が一般化し、食品や健康食品のEC利用が大きく促進されました。
2023年時点での食品・飲料・酒類分野のEC市場規模は約2兆9,299億円となり、前年比6.52%増加しました。
EC化率も4.29%と着実な成長を続けています。
さらに、健康食品市場についても、2024年度には前年比1.5%増加し、約9,128億円規模に達すると予測されています。

交通弱者の増加や医療・介護サービスの担い手不足が課題
地方部では、バスや電車の運行本数の減少により、公共交通機関の利用が難しい「交通弱者」が増加し、地域社会における孤立が進行しています。高齢者が外出できないことで、日常的な買い物や定期的な医療機関への通院が制限され、生活の質が低下する恐れがあります。
さらに、医療・介護サービスの担い手不足も深刻な問題です。
高齢者の増加にともない、介護が必要な人々が増えていますが、夜勤を含む変則勤務や身体的負担の大きい業務内容にもかかわらず、低賃金な労働条件が続いています。
その結果、若者が介護業界に進むことをためらう要因となっている現状です。
少子高齢化時代の成長市場:新たなビジネスチャンスとは?

健康長寿を支える – 拡大する医療・ヘルスケア市場
急速な高齢化の進展にともない、慢性疾患や生活習慣病の患者数が増加の一途を辿っており、医療需要は着実に拡大しています。こうした状況を受け、予防医療や健康管理サービスへの需要が急速に拡大しており、ヘルスケア市場全体の成長を力強く後押ししています。
遠隔診療を活用したデジタルヘルスケアの分野では、革新的なサービスが次々と生まれています。
日本国内のヘルスケア産業の市場規模は、経済産業省の調査によると2018年時点で約55.3兆円です。
さらに、2040年までに約100兆円規模まで成長すると予測されており、予防医療やデジタルヘルス分野は、新規参入企業にとって大きな事業機会を提供する領域として注目を集めています。
暮らしをもっと快適に – 伸びる生活支援サービス
高齢者が自立した生活を維持し、地域社会で快適に暮らすためには、日常の困りごとを解決するサービスが欠かせません。そのため、全国各地で様々な支援サービスの取り組みが始まっており、具体例として、「セコムの見守りサービス」が挙げられます。
また、多くの自治体では地域包括ケアシステムの一環として、配食や家事代行、見守り活動などを推進しています。
いくつになっても学びたい – 広がるシニアの学習・趣味市場
シニア世代は、定年後も社会参加や自己実現を求める意欲が高く、学びや趣味への関心を深める傾向が見られます。こうした学習活動や趣味の探求は、孤独感の軽減や精神的な充実感をもたらすだけでなく、語学、美術、音楽などの文化的な活動を通じて、社会参加や人間関係の拡大にも寄与しています。
具体的な取り組みとして、高齢者向けのオンライン学習プラットフォームや地域密着型の趣味教室が注目を集めています。
介護大手「ニチイ学館」は今後どこまで成長できる?

その成長を支える要因として、以下の4つが挙げられます。
- 高齢者人口の増加に伴う介護サービス需要の拡大
- 独自の教育事業を通じた人材供給力による競争優位性の確立
- 業務効率化とサービス品質向上を実現するデジタル技術の活用
- 介護・医療・保育など幅広い事業領域でのシナジー効果の創出
注目すべきは、介護サービス市場の拡大です。
ニチイ学館は全国約1,900ヵ所の介護拠点を通じて、この需要増に確実に対応できる体制を構築しています。
このように、ニチイ学館は超高齢社会という社会変化を好機として捉え、多角的な事業展開と先進技術の活用、そして強固な人材育成基盤を活かして、今後も持続的な成長を実現していくことが期待されます。
まとめ
今回は、少子高齢化が進む日本において、新たな成長市場とビジネスチャンスについて解説しました。この社会変化により、医療・ヘルスケア、生活支援、シニア向け学習・趣味市場という3つの主要市場が大きく成長すると予測されています。
具体例として、ヘルスケア産業は2018年の55.3兆円から2040年には約100兆円規模まで拡大する見込みです。
今後は特に、デジタル技術を活用した予防医療や生活支援サービス、オンライン学習プラットフォームなどの新規ビジネスの成長が期待されるでしょう。
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