【世界に挑む日本企業】成功企業から学ぶグローバル展開戦略を解説

日本国内の市場縮小や少子高齢化により、多くの日本企業が成長市場を求めて海外展開を加速させています。
 
アジアや新興国では中間層の拡大により高品質な日本製品やサービスへの需要が高まってきました。
 
しかし、海外展開には現地の文化や商習慣の理解、適切なビジネスモデルの選択、コスト管理などの課題があり、慎重な準備と戦略が必要とされます。
 
本記事では、ファミリーマートや味の素といった海外展開で成果を上げている企業の事例を交えながら、成功のポイントを解説していきます。
 

日本企業が海外に事業を広げる理由

日本の市場が小さくなる一方、海外の市場は成長を続けている

日本国内では少子高齢化や人口減少が進行しており、市場規模は縮小傾向にあります。
 
そのため、日本企業の多くが新たな成長の機会を海外に求めている現状です。
 
実際、海外市場では経済成長や中間層の拡大が続いており、日本企業にとって有望な事業機会が広がっています。
 
JETROの調査によれば、海外進出を検討する日本企業の83.1%が「市場規模・成長性」を重視していると回答しました。
出典:JETRO 日本企業の海外事業展開に関する アンケート調査  

海外での人件費や材料費が日本より安く、コストを抑えられる

日本国内では労働力不足や高い人件費が企業経営の課題です。
 
東南アジアや新興国では、豊富な労働力と日本の約5分の1から10分の1と低い賃金水準が、日本企業にとって魅力となっています。
 
例えば、電機メーカーや自動車部品メーカーの多くが、ベトナムやフィリピンに生産拠点を設立しています。
 
これらの国々では人件費の低さに加え、原材料の調達コストも比較的安価であることから、製造コスト全体の大幅な削減が可能です。
 

海外で成功を収めている日本企業の例

ファミリーマート(東アジア・東南アジアに8,400店舗)

ファミリーマートの成功の鍵は、現地市場への深い理解と、ローカライズ戦略にあります。
 
1988年に台湾で海外1号店を開店したファミリーマートは、以下の国に進出を重ねました。
 
 
台湾では「全家便利商店」として地域社会に深く根付き、現地の食文化を反映したお弁当や、台湾の伝統的な祭事に合わせた季節商品の開発など、きめ細かな現地化戦略を展開しています。
 
結果的に、2023年度には4,231店舗を展開するまでに成長を遂げています。
 

「味の素」世界130カ国で愛される調味料メーカー

味の素は、創業間もない1910年、品質と価格の両面で国際競争力を確信し、台湾と韓国への輸出を開始しました。
 
その後、アジア各国での需要の高まりを追い風に、アメリカ、ヨーロッパへと着実に販路を広げています。
 
1950年代に入ると、うま味調味料の需要が高かったタイやフィリピンでは現地企業とパートナーシップを結び、合弁会社を設立しました。
 
この判断により、各地域の食文化や味覚に合わせた製品開発が可能となり、市場での競争力を一層高めることに成功したのです。
 
また、1970年代には冷凍食品市場にも参入しています。
 
北米では、健康志向と本格的な味を求める消費者ニーズを捉え、アジアンフードカテゴリーが急成長を遂げました。
 
なかでも、手作り感のある「餃子」や、本場の味を再現した「焼き鳥炒飯」は、現地の消費者から高い支持を得ています。
 

フランス・パリのリヨン駅で駅弁を販売成功した「花善」

花善がフランスで成功を収めた背景には、現地市場の特性を徹底的に調査した点が挙げられます。
 
日本文化への興味が強いフランス市場に適した戦略を展開したことが功を奏しました。
 
加えて、秋田県産の比内地鶏や地元の食材を活用した独自性も、大きな成功要因でしょう。
 
フランスは発達した鉄道網を持ち、パリからマルセイユまでの長距離列車の利用者が多いことから、駅弁という商品形態が市場に適しています。
 
さらに、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されて以降、フランスでは日本食への関心が一層高まっています。
 

海外進出を成功させるためのポイント

その国の市場を細かく調べ上げる

日本国内で成功したビジネスモデルをそのまま展開しても、現地では通用しないケースがほとんどです。
 
そのため、市場調査をおこたると製品やサービスが現地のニーズとかけ離れてしまい、失敗するリスクが高まります。
 
例えば、トヨタ自動車は各国の道路事情や消費者ニーズを徹底的に調査し、それに合わせた車種開発と生産体制を整えることで、着実に市場シェアを拡大してきました。
 
また、日清食品は中国や東南アジアで現地生産を実施し、製品の価格競争力を高めるとともに、各地域の食文化や味覚に合わせた商品開発を行うことで、市場に深く浸透しています。
 

現地の生活習慣や考え方をよく理解する

異文化環境では、日本国内で通用している価値観やビジネス慣習がそのまま適用できないことが多々あります。
 
商談や意思決定のプロセスでは、欧米企業との取引や契約書の詳細な確認と明確な合意が重要です。
 
そのため、現地文化への理解不足は、誤解や摩擦を生む原因となり、最悪の場合ビジネスチャンスを失うリスクもあります。
 
日本独特の「空気を読む」文化は海外では通用しにくいです。
 
また、イスラム圏でのハラール対応や、各国の伝統的な祝祭日に配慮した営業カレンダーの調整など、宗教や文化的背景を考慮した事業展開が不可欠です。
 

最適な会社の形(現地企業との協力や独立した会社など)を選ぶ

海外市場では、文化や商習慣、法規制など日本国内と異なるため、自社だけでの対応には限界があります。
 
進出形態として「現地企業との提携」と「独立した会社設立」の2つの選択肢が考えられます。
 
そのため、現地パートナーとの提携は、市場参入時の障壁を低減し、迅速な事業展開を可能にします。
 
例えば、販売代理店契約や合弁会社設立を通じて、現地の流通網や顧客基盤を活用できるメリットがあります。
 
一方で、パートナー企業との意思決定による調整や利益配分など、新たな課題も生じる可能性があるでしょう。
 
独自ブランドを強調したい場合や長期的な市場支配を目指す場合には、独立した現地法人の設立が有効です。
 
この形態は初期投資やリスクが高いものの、経営の自由度が高く、自社戦略を直接実行できます。
 
結果、製品開発から販売までの一貫した品質管理や、現地市場に合わせた迅速な意思決定が必要な場合に優位性を発揮しやすいでしょう。
 

まとめ

今回は、日本企業の海外展開戦略について、成功事例から学ぶべきポイントを解説しました。
 
海外展開の成功には、綿密な市場調査、現地文化の深い理解、および進出形態の適切な選択が不可欠です。

実際に、ファミリーマートは台湾で現地ニーズに合わせたローカライズ戦略を展開し、大きな成功を収めています。
 
具体的には、現地の食文化に合わせた商品開発や、地域密着型のマーケティングを実施した結果、現在では4,200店舗以上を展開するまでに成長しました。

今後、アジアを中心とする新興国市場の成長にともない、日本企業の海外展開機会はさらに拡大するでしょう。
 
しかし、こうしたビジネスチャンスを最大限活用するためには、適切な投資判断も重要です。
 
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