カーボンニュートラルの企業活動とは?企業が取り組む3つの理由

世界的な環境意識の高まりとパリ協定の目標達成に向けて、多くの企業がESG投資の拡大や環境規制の強化を背景に、積極的にカーボンニュートラルへの取り組みを進めている状態です。
しかし、日本企業は2028年度からの炭素賦課金導入や国際競争力の維持という課題に直面しており、迅速な対応が求められています。
本記事では、企業がカーボンニュートラルに取り組む3つの理由を解説し、具体例として三菱重工の事例を通じて、環境対策と企業価値向上について説明しています。
ぜひ、最後まで読んでみてください。
カーボンニュートラルによる地球温暖化対策の基本

「カーボンニュートラル」と「脱炭素」の違い
「カーボンニュートラル」と「脱炭素」は温室効果ガスの削減を目指す点で共通していますが、アプローチと最終目標に違いがあります。カーボンニュートラルは、排出される二酸化炭素(CO2)と吸収されるCO2の収支バランスを取ることを指します。
具体的には、企業や団体が排出量を相殺するために「植林活動」や「再生可能エネルギー」の導入を進めており、特定期間内での均衡を目指す取り組みです。
一方、脱炭素はより根本的な変革を目指します。
化石燃料への依存度を段階的に減らし、最終的には化石燃料の使用をゼロにすることで、持続可能な社会の実現を目指します。
カーボンニュートラルは短期的な対策として、脱炭素は長期的な解決策として、それぞれの役割を果たしているのです。
なぜ2050年までに対策が必要?世界が合意したパリ協定の中身
地球温暖化を抑制するためには、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成が必要と言われています。地球温暖化による気候変動で深刻な影響が拡大し、社会や経済に甚大な被害をもたらす可能性があると言われているからです。
地球温暖化は、産業革命以降の化石燃料使用による温室効果ガスの増加が主な原因です。
このままでは、気温上昇が世界的に加速し、以下のような影響が予測されています。
- 異常気象(台風や洪水など)の頻発
- 海面上昇による沿岸地域の浸水
- 生態系の破壊と生物多様性の喪失
- 農業生産への悪影響による食糧危機
これらは人類全体の生活基盤を脅かすため、早急な対策が必要です。
こうした深刻な状況に対応するため、2015年に画期的な「パリ協定」が採択され、以下の目標が掲げられています。
- 世界平均気温上昇を2℃未満に抑える(さらに1.5℃を目指す努力)
- 今世紀後半までに温室効果ガス排出量と吸収量を均衡させる(カーボンニュートラル)
この目標に向けて、日本を含む世界の多くの国々が、2050年までのカーボンニュートラル達成を表明し、具体的な取り組みを始めています。
企業がカーボンニュートラルに取り組む理由

社会貢献とSDGs(持続可能な開発目標)への取り組み
企業がカーボンニュートラルに取り組む理由は、地球温暖化の抑制を通じた社会貢献と、SDGsが掲げる目標への対応です。気候変動に対応するため、国際社会は「2050年までのカーボンニュートラル達成」という明確な目標を掲げ、多くの企業が実現に向けて具体的な行動を開始しています。
SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」や目標7「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」は、カーボンニュートラルと密接に関連します。
これらの目標達成に向けた取り組みは、企業活動を通じた持続可能な社会の実現につながるでしょう。
環境に優しい企業への投資(ESG投資)が増えている
ESG投資とは、以下3つの観点から企業を評価し、投資先を選定する手法です。- 環境(Environment)
- 社会(Social)
- 企業統治(ガバナンス:Governance)
世界的な環境問題への危機感や社会的責任への意識の高まりを背景に、この投資手法は急速に広がりを見せています。
ESGの評価基準は多岐にわたりますが、環境面では、気候変動対策が重要な要素です。
ESG投資家は、再生可能エネルギーの活用や温室効果ガス排出削減など、具体的な環境負荷軽減策を実施する企業を高く評価します。
その結果、評価の高い企業は、低金利での資金調達や株価上昇といったメリットを期待できるでしょう。
実際に、太陽光発電設備の導入や省エネ技術の開発に積極的に取り組む企業の多くが、ESG投資家から高い評価を受け、企業価値を向上させています。
このようにESG投資は企業の持続的な成長と競争力強化において不可欠な経営戦略です。
CO₂への課税や規制の強化
企業は、炭素税や排出量取引制度などのカーボンプライシング政策の導入に伴い、CO₂排出に直接的な費用が発生しています。日本においても2028年度から炭素賦課金が導入される予定であり、企業の経済的負担は今後さらに増加傾向です。
また、世界的にカーボンニュートラルへの対応が加速する中、環境配慮への取り組みは国際競争力の維持に直結する要素となっています。
輸出企業においては、取引先から厳格な環境基準への適合を求められるケースが増加しており、これは今後のビジネス展開における不可欠な要件です。
CO₂排出量ゼロを目指している「三菱重工」の株価は?

積極的な環境戦略により、企業の競争力が高まり、機関投資家からの評価も着実に向上しているのが現状です。
目標達成に向けて、三菱重工は「水素製造プラント」や「風力発電プロジェクト」を重点的に展開しています。
年間処理能力100万トン規模の水素製造施設の建設や、洋上風力発電の大規模プロジェクトを手掛けており、新たな収益の柱として期待できるのではないでしょうか。
水素エネルギーは、今後のエネルギー市場で中核を担うと見込まれており、三菱重工は先進的な技術開発を進めています。
三菱重工は2024年度も売上高・純利益ともに増加を見込んでおり、とりわけエネルギー関連事業が好調を維持しています。
2023年以降の株価は力強い上昇トレンドを描き、一部アナリストの分析では過去数年間で約8倍という急成長を遂げました。
三菱重工の持続的な成長は、カーボンニュートラルという社会的課題への戦略的な対応と、それを基盤とした堅実な業績の両立によるものです。
まとめ
今回は、カーボンニュートラルの仕組みから企業が取り組む理由を解説しました。企業がカーボンニュートラルに取り組む背景には、主に3つの要因があります。
- 社会貢献とSDGsへの対応
- ESG投資の拡大
- CO₂規制強化への対応
例えば、三菱重工は2040年までのCO₂排出量ゼロを目標に掲げ、水素エネルギーなどの新規事業を展開することで、企業価値と株価の上昇を実現しています。
2028年度からの炭素賦課金導入や国際競争の激化により、カーボンニュートラルへの取り組みは今後さらに重要性を増していくでしょう。
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