トランプ氏の関税政策で株価はどう動く?投資家が押さえるべきポイント

次期米大統領でもあるトランプ氏は、中国との貿易赤字削減を目指していることがニュースでも話題になっています。
 
中国からの輸入品に最大60%の関税を課す政策を提案しており、これが世界経済と株式市場に影響を与える可能性が高いです。
 
製造業や自動車産業など多くの企業コスト増加を引き起こし、日本企業は北米での生産拠点を通じた輸出戦略の見直しを迫られます。
 
本記事では、このような状況下で投資家が理解しておくべき市場の動きと対応策を、客観的な立場から解説していきます。
 

次期米大統領トランプ氏の関税政策

貿易における関税制度とは?

関税とは、輸入品に対して課される税金です。
 
主な目的は、自国の産業を保護し、国内市場の健全な発展を促すことにあります。
 
農業や製造業などの分野では、海外から安価な製品が大量に流入することで国内産業が打撃を受ける可能性があります。
 
そのため、適切な関税を設けることで、国内企業の競争力を維持し、産業の存続を図っているためです。
 
輸入品に対する関税は、商品の価格や数量を基準として慎重に算出され、各国がそれぞれの経済状況に応じて税率を決定しています。
 
関税には以下3つの機能があります。
 

  1. 国家の重要な財源としての機能
  2. 国内産業の保護機能
  3. 不公正な貿易を是正するための制裁機能

 
これらの機能が相互に作用することで、国際貿易の適切な均衡が保たれているのです。
 

なぜ今、中国からの輸入品を高くしようとしているのか?

トランプ氏の関税政策は、大統領在任中において中国との貿易戦争の一環として注目を集めました。
 
長年の米中経済関係における緊張関係が具体的な行動として表面化したものといえます。
 
関税政策の背景には、中国による不公正な貿取引行が存在します。
 
知的財産権の侵害や政府による過度な補助金供与が深刻な問題として、国内市場でのシェアも著しく低下しています。
 
このような状況を受けて、2018年以降、アメリカは中国からの輸入品に対し段階的に関税を引き上げていきました。
 

輸入品が高くなると、どうして株価が変動するの?

輸入品の価格上昇は企業のコストを押し上げ、利益を圧迫するため、株価は下落傾向となることが多くなります。
 
原材料や部品を海外から調達している企業では、このコスト増加により収益が大きく影響を受けることがあります。
 
関税によって輸入品の価格が上昇すると、企業はコストを吸収するか、消費者に転嫁する必要に迫られるからです。
 
結果、消費者の需要が減少し企業の利益が落ち込み、将来性に懸念を抱いて株式を売却する傾向が強まります。
 

関税による世界経済と株式市場への影響

世界の主要な株式市場はどう反応している?

トランプ氏の関税政策は世界経済と株式市場を揺るがしており、アジアやヨーロッパの市場で顕著な反応が見られます。
 
国際貿易におけるコストを増大させ、サプライチェーンを通じて世界中の経済活動に波及する可能性があるでしょう。
 
日本市場では、トランプ氏の関税表明後、日経平均株価が一時700円以上下落しました。また、半導体関連株や輸出関連株が大幅な値下がりを記録しています。
 
一方で、米国市場ではS&P 500やナスダック総合指数が上昇し、新たな高値を記録しました。
 

過去の関税政策があったとき、株価はどう動いた?

過去のデータを見てみると、トランプ政権による対中国輸入品への高関税政策は、米国製造業の株価に大きな影響を及ぼしました。
 
2018年の鉄鋼・アルミニウムへの関税発表時には、これらの産業の株価が急落しています。
 
注目すべきは、中国市場への依存度が高いテクノロジー企業や製造業者への影響です。
 
Apple社は、中国での販売減少懸念から株価が下落し、同社の時価総額に大きな影響を与えました。
 

米国の関税による日本市場への影響は?

トヨタやホンダなど自動車メーカーへの影響

トランプ氏が提唱する対メキシコ・カナダ向け25%の関税政策は、両国を生産拠点としてアメリカ市場への輸出コストを抑制してきた日本の自動車メーカーに影響を与えます。
 
トヨタやホンダはカナダに主要な製造拠点を構え、現地で生産した車両をアメリカに輸出しているからです。
 
2023年にはトヨタが52万台以上、ホンダが37万台以上を生産し、その多くがアメリカ市場向けでした。
 
これらの生産拠点からアメリカへ輸出する際に新たな関税が課されれば、製造原価の上昇は避けられない状況です。
 

ソニーや半導体メーカーなど電機産業への影響は?

トランプ氏の関税政策は日本の電機産業に対して、コスト増加を引き起こし、国際競争力を著しく低下させる恐れがあります。
 
過去のトランプ政権時代にも同様の関税政策が実施され、多くの日本企業が影響を受けました。
 
電子部品や半導体などの分野では、売上高の約3割をアメリカ市場に依存しているため、関税引き上げによるコスト増加が直接的な打撃となります。
 
ソニーなどの大手電機メーカーは、アメリカ市場での売上が全体の収益に大きく貢献しています。
 
これらの企業は、関税引き上げにより製品価格の上昇を余儀なくされ、販売量の減少を招き、市場シェアの低下を引き起こす可能性があるでしょう。
 

農産物や食品輸出への影響は?

日本の農林水産物・食品の輸出が大きく伸長する中、2023年のデータによれば、米国は中国、香港に次ぐ第3位の輸出市場としての地位を確立しています。
 
ブリやアルコール飲料、緑茶、ホタテ、牛肉といった高品質な日本産品が米国市場で高い評価を得て、着実にシェアを拡大してきました。
 
しかし、これらの商品に対する関税引き上げの動きは、日本の輸出業者に価格設定や市場戦略の抜本的な見直しを迫る可能性があります。
 
とりわけトランプ政権下での日米貿易交渉では、日本側が米国産牛肉や豚肉、チーズなどの関税引き下げを受け入れる結果となりました。
 
この交渉経験が、今後も日本は米国との貿易交渉において、市場アクセスと国内産業保護のバランスという難しい課題に直面することが予想されます。
 

サプライチェーン企業、パナソニックの株価は?

パナソニックの株価は、戦略的成長分野であるサプライチェーンマネジメント(SCM)事業の展開が、株価の下支えとして期待されています。
 
成長戦略として、パナソニックは物流ソフトウェア大手のブルーヨンダーを買収し、先進的な技術を活用したSCM事業の強化を推進しているからです。
 
SCM事業の上場準備を本格化させており、資本市場から資金を集め活用することで、グローバル市場での競争力強化を目指しています。
 
さらに、AIやIoT技術を統合した革新的なソリューション提供に注力しています。

この取り組みにより、激変する国際情勢や市場環境の変化にも機動的に対応できる事業基盤の確立を進めています。
 

まとめ

今回は、トランプ氏の関税政策が株価に与える影響について解説しました。
 
結論から言うと、トランプ氏の関税政策強化案に対する市場の懸念が高まっています。
 
経済研究所の分析では、同政策により米国GDPが1.0%、世界経済が0.2-0.4%減少する可能性があるでしょう。
 
株式市場では、トヨタ・ホンダなどの自動車メーカーや、ソニー・日立などの電機メーカーといった対米輸出依存度の高い企業への影響が懸念されています。
 
また、企業のサプライチェーン再編や生産拠点の分散化が進むと予想されます。
 
このような市場の大きな変動期だからこそ、個人投資家にとってチャンスとリスクが共存しています。
 
投資のプロフェッショナルとして47年の実績を持つ北川氏が、「未来の株価が書かれている場所」を見つける具体的な手法を「
無料の動画講座」で公開中です。
 
激動の相場を乗り切るために、ぜひ今すぐチェックしてみてください。
 
【期間・人数限定】たった3秒で登録完了!北川氏の投資術を学ぶ
 
▶ 無料動画講座を視聴する
TOP
>
北川FC事務局コラム
>
トランプ氏の関税政策で株価はどう動く?投資家が押さえるべきポイント