バイオテクノロジーとは？成長産業の特徴から投資戦略を解説
バイオテクノロジーとは、生物の能力を活用して医療や食品、環境など幅広い分野で革新をもたらす技術です。
がん治療薬の開発やバイオ燃料の製造など、私たちの生活に関わる分野で活用されています。
市場の成長性が期待される一方で、新薬開発の失敗リスクや規制強化による収益への影響など、投資リスクが存在することも事実です。
本記事では、バイオテクノロジー産業の特徴を解説し、投資初心者向けに実践的な投資戦略を紹介していきます。
バイオテクノロジーとは？どんな特徴を持つ産業？
バイオテクノロジー技術は、生物の遺伝子や細胞、代謝機能を操作することで、新たな製品やサービスを生み出すことを目的としています。
バイオテクノロジー技術により、以下の分野で革新的な製品が実現しています。
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- 医療分野では個別化医療や再生医療
- 食品分野では人工肉や機能性食品
- 環境分野ではバイオ燃料や生分解性プラスチック
引用元：経済産業省｜バイオテクノロジーが拓く 「ポスト第4次産業革命」
バイオテクノロジー市場は急速に成長を続けており、2023年には7149億米ドルに達し、2032年までには12772億米ドルに達すると予測されています。
バイオテクノロジーによる3つの最先端医療技術
① バイオ医薬品：新しい薬の開発
バイオ医薬品は、生物由来の成分を活用して製造される医薬品です。
従来の化学合成薬では十分な効果が得られなかった難治性疾患に対しても、より的確な治療アプローチが可能となっています。
このような治療効果の高さを背景に、バイオ医薬品市場は着実な成長を続けています。
2024年には市場規模が38兆円に達すると予測されており、年平均成長率9.6%という力強い成長が見込まれているでしょう。
引用元：経済産業省｜資料「バイオCMO/CDMOの強化について」
② 遺伝子治療：遺伝子で病気を治す最新治療
遺伝子治療は、特定の遺伝子疾患やがんに対する革新的な治療法です。
病気の原因となる遺伝子を直接修正または置換することで、従来の治療法では効果が得られなかった患者に新たな希望をもたらしています。
遺伝子治療の主なメリットは以下のとおりです。
希少疾患や難治性疾患に対して、患者個々の遺伝子情報に基づいた精密な治療を実現できる点が特徴です。
2022年に74億米ドルだった市場規模は、2030年には292億米ドルに達すると予測されています。
年平均成長率（CAGR）は19.4%と高く、がんや神経疾患、心臓疾患などの治療法の進展が市場を牽引するでしょう。
③ 再生医療：傷ついた体を再生する医療技術
再生医療は、傷ついた体の細胞や組織を修復・再生する次世代の医療技術です。
そのため、従来治療が困難だった疾患に新たな治療法を提供しています。
特徴としては、患者自身の細胞を利用することで拒絶反応を抑えつつ、損傷した臓器や組織を再生できます。
このような技術革新により、従来は治癒が難しかった病気の根本的な解決が期待できるでしょう。
再生医療の技術スピードは加速しており、市場も急速に成長しています。
2024年には約6兆円規模に達すると予測され、幹細胞治療や3Dバイオプリンティング技術の導入が市場をけん引しています。
バイオテクノロジー関連株の特徴
大きな成長が期待される一方で、リスクもともなう投資対象
成長性の面では、バイオテクノロジー企業は革新的な技術や新薬の開発により、飛躍的な成長を秘めています。
2024年に向けては、ベンチャーキャピタルからの資金調達が活発化しており、先進的な治療法やAIを活用した創薬プロセスが期待されています。
一方で、この成長性には以下3つのリスク要因が存在します。
- 米国IRA（インフレ抑制法）などの新規制により薬価交渉が義務付けられ、収益が圧迫される可能性。
- 業界内でのM&Aが加速することで競争が一層激化。
- 臨床試験の失敗は企業の株価を大きく下落させる要因。
しかし、これらのリスクを考慮したうえでも、バイオテクノロジー分野は長期的な成長が期待できる有望なセクターだと思われます。
不況期においても比較的高い需要を維持する
医療・ヘルスケア分野は人々の生活に不可欠であり、景気変動の影響を受けにくいのが特徴です。
バイオ企業は、持続的な医療ニーズと新薬開発への期待を背景に、不況期でも底堅い需要を維持しています。
2008年の「大不況」では、S&P500指数が約35%下落した一方で、NYSE Arca バイオテクノロジー指数は約12%の下落にとどまりました。
また、新型コロナウイルスのパンデミック時には、ワクチンや治療薬開発への期待感から多くのバイオ関連銘柄が急騰しています。
バイオテクノロジー関連株の具体的な金融商品
ETF（上場投資信託）
ETFは複数の銘柄を1つのパッケージとして取引できるため、分散投資によるリスク軽減が可能です。
さらに、ETFは株式市場で取引されるため流動性が高く、必要に応じて迅速な売買ができます。
具体的には、「iシェアーズ・バイオテクノロジーETF（IBB）」があります。
引用元：Bloomberg-Markets｜IBB-銘柄-iｼｪｱｰｽﾞ･ﾊﾞｲｵﾃｸﾉﾛｼﾞｰETF-投資信託（ファンド）
このETFは、ナスダック市場に上場するバイオテクノロジーおよび医薬品関連銘柄を集めた指数に連動し、
2024年11月時点での1年トータルリターンは約13.32%と高い成績を記録しています。
また、IBBは大型株中心で構成されており、上位銘柄にはギリアド・サイエンシズ（GILD）やアムジェン（AMGN）など業界を代表する企業が含まれます。
iFreeNEXT NASDAQバイオテクノロジー・インデックス
iFreeNEXT NASDAQバイオテクノロジー・インデックスは、バイオテクノロジー企業に投資できる投資信託です。
米国NASDAQ市場の代表的な指数に連動することで、革新的な医療技術や創薬に取り組む企業群への投資ができます。
インデックスファンドはETFと異なる特徴を持っています。
最大の違いは「取引方法」です。
ETFは証券取引所でリアルタイムに売買可能で流動性が高い一方、インデックスファンドは1日1回の基準価額での取引になります。
そのため、市場の短期的な変動に左右されにくい長期投資向けです。
2024年11月20日時点で基準価額16,989円を記録し、1年間で15.92％の上昇を見せています。
また、ETFでは必要となる解約手数料が不要である点も、長期投資家にとってメリットでしょう。
引用元：大和アセットマネジメント｜iFreeNEXT-NASDAQ-バイオテクノロジー・インデックス
まとめ
バイオテクノロジーは、生物の能力を活用して医療・食品・環境分野に革新をもたらす成長産業です。
バイオ医薬品、遺伝子治療、再生医療などの最先端技術により、従来は治療が困難だった疾患にも新たな治療法を提供できる可能性が広がっています。
市場規模は2023年の7,149億ドルから、2032年には12,772億ドルまで成長すると予測されています。
投資を検討される方には、ETFなどの投資信託を活用し、リスクを分散させながら長期的な視点で投資するのが良いでしょう。
しかし、投資で悩む最大の課題は、有望銘柄の発掘と売買タイミングの見極めではないでしょうか？
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