【初心者向け】半導体とは?基礎知識から具体的な投資戦略を解説

半導体とは、電子機器の動作を制御する部品で、スマートフォンからAI、自動運転まで、現代のデジタル社会を支える基盤技術です。
 
近年は生成AIや自動運転技術の急速な発展により需要が急増しており、2024年の世界市場は前年比13.1%増の5,884億ドルに達すると予測されています。
 
本記事は、成長産業である半導体分野への投資を検討している初心者に向けて、基礎知識から具体的な投資戦略までを分かりやすく解説。
 
ぜひ、最後まで読んでみてください。
 

半導体産業の市場環境

WSTS(世界半導体市場統計)の予測によれば、2024年9月の売上高は前年同月比23.2%増の553億米ドルと、過去最高を更新しました。
 
とくに米州市場が好調で、46.3%増と大幅な伸びを記録しています。
 
成長の原動力となっているのが「AI」や「IoT」自動運転技術など新興技術の急速な普及です。
 
なかでも生成AI技術の発展が市場を牽引しており、高性能な半導体への需要が急増しています。
 

半導体業界を牽引する技術革新

AIの進化を支える半導体

生成AIやディープラーニングといった高度なAI技術の発展には、膨大なデータを高速に処理できる半導体チップが不可欠です。
 
近年のAI技術は、これまでにない規模のデータ処理を必要としており、従来のCPUだけではその要求に応えることができません。
 
自然言語処理や画像認識の分野では、リアルタイムで大量のデータを処理する必要があり、この課題を解決するために専用のAIチップの開発が進められてきました。
 
AIの計算処理に特化したGPUの性能向上により、生成AIの学習時間は劇的に短縮され、より複雑なAIモデルの開発が可能になります。
 

自動運転を実現する半導体技術

自動運転車は道路状況に対応するため、膨大なデータをリアルタイムで処理し、瞬時の判断を下す必要があります。
 
たとえば、車載カメラやセンサーから取得される周囲の車両位置や歩行者の動きといった情報を瞬時に処理し、

ブレーキやハンドル操作の判断を下すためには、AIや機械学習をサポートする高度なチップが必要です。
 
「NVIDIA」や「インテル」の半導体メーカーは、自動運転に特化した専用チップの開発を競い合っており、その技術は年々進化を遂げています。
 
とくに注目を集めているのがテスラの取り組みです。
 
テスラは、自社開発の「FSD(Full Self-Driving:完全自動運転)」チップを採用し、高度な自動運転機能を提供しています。
 

半導体株投資の気をつけるべきリスク

米中関係の悪化で起きるリスク

米国は中国の技術進展を抑制するため、先端半導体技術や製造装置の輸出を制限し、中国企業の成長を阻止しようとしています。
 
この規制強化の動きは、米国だけでなく、日本やオランダなど同盟国にも協力を求める形で展開されているのです。
 
その結果、国々の半導体関連企業も中国市場からの収益減少リスクにさらされています。
 
実際、2024年7月には米国がさらなる対中規制を検討しているとの報道を受け、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が急落しました。
 
このように、米中関係の緊張は半導体関連企業の株価に影響を与える要因となっています。
 

部品調達(サプライチェーン)問題で起こりうるリスク

半導体製造には、精密な装置などの高性能な機器に加え、数百種類の部品が必要です。
 
これらの部品が特定の国や企業に依存しているため、

サプライチェーンが途絶えると、製造工程全体が停止し、1日あたり数億円規模の損失が生じる可能性があります。
 
近年では、世界的な半導体不足により「自動車産業」や「家電製品」「スマートフォン」など

電子機器を製造する企業が、生産計画の見直しや一時的な生産停止を余儀なくされました。
 
対策として、トヨタやサムスンなどの大手企業は、サプライチェーンの多様化を図り、半導体メーカーとの直接契約を増やすとともに、新技術への研究開発投資を強化しています。
 
また、生産拠点を中国や東南アジア、北米など複数の国に分散させ、

特定地域に依存しない体制を整えることで、供給リスクの軽減を目指しています。
 

半導体特有の景気サイクル(シリコンサイクル)

半導体市場には、景気循環があり「シリコンサイクル」と呼ばれています。
 
半導体業界における需要と供給のバランス変動によって引き起こされる約2〜3年周期の景気変動のことです。
出典:三井住友トラスト・アセットマネジメント|シリコンサイクルと半導体関連株式
 
シリコンサイクルは、技術革新のスピードが速い半導体業界において、工場建設などの設備投資や在庫管理が難しいことから発生します。
 
好況期には各メーカーが一斉に新しい製造ラインの建設や設備の増強を行い生産能力を拡大しますが、市場の需要を超える供給過剰が発生し、不況期へと転換していきます。
 
実際に、エヌビディアは2022年に半導体需要の低迷により50%以上株価が下落しました。
 
しかし、その後ChatGPTに代表されるAIブームで、2023年には株価が過去最高値を更新するまでに回復しています。
 

半導体株に投資するには?具体的な方法

おすすめの個別株式銘柄

日本の半導体産業を牽引する代表的な企業として、以下の2社があげられます。
 

  1. 「東京エレクトロン(8035)」
  2. 「ルネサスエレクトロニクス(6723)」

 
東京エレクトロンは、半導体製造装置分野において世界トップクラスのシェアを誇ります。
出典:Yahoo!ファイナンス|東京エレクトロン(株)  
卓越した技術力と確固たる市場支配力を背景に、今後も安定した成長が期待できるでしょう。
 
実際、2024年初頭からは株価が力強い上昇基調を維持しており、その成長性は市場からも高い評価を受けています。
 
一方、ルネサスエレクトロニクスは、自動車向け半導体で圧倒的な強みを持つ企業です。

世界的な電気自動車(EV)市場の急速な拡大にともない、その存在感は一層増しています。
 
自動車の「頭脳」とも言える半導体の需要拡大を追い風に、同社の株価も顕著な上昇を示しており、国内外の投資家から熱い注目を集めています。
出典:Yahoo!ファイナンス|ルネサスエレクトロニクス(株)  

投資信託やETFで賢く分散投資

上記でも触れた個別企業への投資は、企業固有のリスクや市場変動の影響を受ける可能性があります。
 
そこで注目したいのが投資信託やETFです。
 
投資信託やETFは複数の企業に分散して投資することで、個別企業のリスクを抑えながら、半導体市場全体の成長機会を捉えることができます。
 
具体例として、
フィラデルフィア半導体指数(SOX指数に連動するETFは、インテルやNVIDIAをはじめとする、米国を中心とした主要な半導体関連企業に幅広く投資できる商品です。
 
日本市場においても、「日経半導体株指数」に連動するETFを通じて、東京エレクトロンやアドバンテストなど、国内の優良な半導体関連企業に分散投資することができます。
出典:日本経済新聞|NEXT FUNDS 日経半導体株指数連動型上場投信  
このように、半導体株への投資は高い成長性を秘めた魅力的な選択肢ですが、

投資信託やETFを活用することで、リスクを適切に分散しながら、より安定的な投資を実現できます。
 

まとめ

今回は、半導体の基礎知識から投資戦略までを初心者向けに解説しました。
 
世界の半導体市場は成長を続けており、2024年の売上高は前年比13.1%増となる5,884億米ドルに達する見込みです。
 
NVIDIAが開発したAI処理用チップは、生成AI技術に革新をもたらし、この産業の潜在力を示す代表例となっています。
 
しかし、投資にあたっては米中関係の緊張や、半導体特有の需給サイクル(シリコンサイクル)などのリスク要因も考慮しましょう。
 
個別企業の株式だけでなく、半導体セクター全体の動きを捉える「
SOX指数連動ETF」なども組み合わせた、分散投資戦略をお勧めします。
 
しかし、個人投資家にとって、半導体株への投資タイミングを見極めることは容易ではありません。
 
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