ロシア・ウクライナ戦争と金融市場の関係とは?影響と投資戦略を解説

2022年に勃発したロシア・ウクライナ戦争は、世界の金融市場を揺るがす地政学的リスクです。
 
日経平均やNASDAQ指数の大幅な下落、原油価格の高騰、そしてインフレ圧力の増大など、影響は私たちの経済生活に及んでいます。
 
このような不確実性の高い市場環境において、個人投資家はどのように資産を守り、運用していけばよいのでしょうか。
 
本記事では、金・原油ETFや防災・インフラ関連企業など、

地政学的リスクに対応した具体的な投資戦略を、投資初心者にもわかりやすく解説します。
 
ぜひ、最後までお読みください。
 

ロシア・ウクライナ戦争による影響

日経平均が2万6000円割れ、ダウ平均株価は一時800ドルを超える下落

2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻は、世界の株式市場に衝撃を与えました。
 
日経平均株価は26,000円を割り込む大幅な下落を記録しています。
 
ニューヨーク市場では、ダウ平均株価が一時800ドルを超える急激な下げで、約10ヶ月ぶりに33,000ドルを割り込みました。
 
理由は、投資家のリスク回避姿勢が強まり、株式を売却して債券や金などの安全資産へと資金をシフトさせたことにあります。
 

原油価格の上昇と製造業の輸送コスト増加

ロシアは世界第3位の産油国であり、世界の原油生産量の12.1%を占めています。
 
2022年のウクライナ侵攻後、欧米諸国による経済制裁の一環としてロシア産原油の輸入が制限されたことで、世界的な供給不安が広がりました。
 
供給不安を受けて、2022年3月には「WTI原油先物価格」が一時1バレル130ドルを超え、13年8か月ぶりの高値を記録しています。
 
原油価格の高騰は、エネルギー資源の多くを輸入に依存する日本の製造業に大きな影響を及ぼします。
 
実際、日本によるロシアへのエネルギー依存度は比較的高く、製造コストの急激な上昇を招きました。
 

地政学リスクで市場のボラティリティが上昇 

ロシアの経済規模は世界のGDPの2.5%程度で、株式市場の規模もMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスの0.3%にとどまります。
 
しかし、エネルギー供給における重要性から、市場全体への影響は無視できません。
 
ロシアは世界有数のエネルギー供給国であり、世界の天然ガス産出量の17%を占めています。
 
欧州では天然ガス需要の約40%をロシアに依存しており、この状況が市場の不安定要因となっています。
 

ウクライナ戦争による世界主要市場の株価・為替動向

日経平均株価が1年4カ月ぶりに25,000円を割り込み

2022年の3月8日には、約1年4カ月ぶりに25,000円の大台を割り込み、市場に動揺が広がりました。
 
株価下落の要因は、地政学的リスクの高まりと原油価格の急騰です。
 
ロシアへの経済制裁にともなうエネルギー供給制限への懸念から、インフレ圧力が強まり、日本経済全体にも影響が及んでいます。
 
過去には、市場が比較的短期間で回復する傾向が見られましたが、今回は価格変動性(ボラティリティ)が高い状態が続いてしまったのです。
 

NASDAQ指数は約27%低下、GAFAM株にも影響

NASDAQ指数は、Apple、Microsoftなどの主要テクノロジー企業が多く上場する市場の指標です。
 
そのため、国際情勢やインフレなど、経済環境の変化に敏感に反応する特徴があります。
 
ロシアによるウクライナ侵攻以降、世界的な不確実性の高まりを受けて、NASDAQ指数は急激な下落を経験しました。
 
同年には1万2587ポイントまで下落し、約27%もの大幅な調整を余儀なくされています。
 
時価総額で市場を牽引するGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)は、この市場環境の変化による影響を顕著に受けました。
 

ロシアに向けた経済制裁の影響 

ロシアのSWIFT除外で国際送金取引が減少

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、欧米諸国は様々な経済制裁をロシアに実施しました。
 
施策の1つが、国際金融メッセージングシステム「SWIFT」からのロシアの排除です。
 
この制裁措置は、ロシアの主要銀行をSWIFTから切り離すことで、世界の金融市場との取引を制限することを目的としています。
 
これにより、ロシアの経済活動を抑制し、戦争継続能力を低下させることが目的です。
 
具体的には、輸出入取引の決済が困難になり、海外での資金調達や投資活動も著しく制限されることとなっています。
 

約1,000社以上の外国企業がロシアから撤退

制裁の影響により、これまで約1,000社以上の外国企業がロシア市場からの撤退を余儀なくされました。
 
ロシアに対する制裁により、ロシア国内での事業運営は著しく困難となり、撤退を決めた企業の多くが巨額の評価損や売上減少に直面しています。
 
具体的には、外国企業が被った損失は総額1,070億ドルに達しています。
 
加えて、海外企業の撤退にともなう技術流出や雇用喪失が急速に進行しており、

自動車や航空機などのハイテク産業における生産維持が困難になっているでしょう。
 

戦時中に投資家が知っておくべき投資戦略とは? 

金・原油ETFの組入比率を上げる

金は歴史的にリスク回避資産として、戦争や不安定な経済状況下では価値が上昇しやすいです。
 
実際に、ロシアによるウクライナ侵攻後、世界的な地政学リスクの高まりを受けて金価格は上昇しました。
 
このような特性により、金ETFをポートフォリオに組み込むことで、株式市場の変動リスクを効果的に緩和することができます。
 
同様に、原油ETFもリスクヘッジ手段として注目されています。
 
戦時下では地政学的な供給不安から原油価格が上昇しやすく、ロシア・ウクライナ紛争においても、

ロシアからの供給懸念により原油価格は一時的に急騰しました。
 
以上の理由から、戦時下での投資戦略として金と原油ETFの組入比率を適切に調整することで、

ポートフォリオ全体のリスク分散効果を高められるのでおすすめです。
 

防災・インフラ関連企業への投資 

世界情勢が不安定化する中、投資家にとって防災・インフラ関連企業も安定的なリターンが期待できる投資先として注目されています。
 
防災・インフラ整備は国家安全保障の観点から政府主導で実施されることが多く、長期的な事業計画が立てやすい特徴があります。
 
地政学的リスクや資材価格の高騰など、短期的な課題はありますが、

社会基盤を支える本質的な役割を考えると、長期的には持続的な成長が期待できる投資分野と言えるでしょう。
 
そのため、インフラ関連のETF(上場投資信託)や、高格付けの個別企業株式を組み入れることで、

ポートフォリオの安定性を高めることができます。
 

まとめ

今回は、ロシア・ウクライナ戦争が世界の金融市場に与える影響と、地政学的リスクに対応する投資戦略を解説しました。
 
ロシアとウクライナの両国は、世界の資源供給国です。
 
そのため、両国の戦争は金融市場に混乱をもたらし、エネルギー価格の高騰とインフレ圧力の増大を引き起こしました。
 
2022年2月の開戦後、日経平均は2万6000円割れ、NASDAQは約27%下落するなど、

世界の主要市場が大きく動揺しています。
 
しかし、このような不安定な状況下でも投資家は、以下の投資戦略をおこなえばリスク分散をしながらリターンが追求できるでしょう。
 
 
投資家は、地政学リスクを考慮しつつ、安全資産を活用したポートフォリオの見直しを検討しましょう。
 
上記のリスク分散戦略を成功させる投資家には、ある共通点があります。
 
元ひまわり証券社長の北川氏は、47年の実績で培った独自の投資術で、コロナショック時の大底や日経平均4万円相場など、数々の相場予測を的中させてきました。
 
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