インバウンドによる経済効果とは?株価への影響と投資戦略を解説
急増する訪日外国人、この「インバウンド需要」により日本の経済は成長してきています。
本記事では、急増するインバウンド需要が日本経済と株式市場にもたらす影響をわかりやすく解説しています。
投資初心者の方や老後に備えた資産運用を考えている方に向けて、インバウンド関連銘柄の選び方や具体的な投資戦略も紹介。
今後10年間で大きく変わる日本の観光産業について知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
インバウンド需要とは?
インバウンド需要とは、日本を訪れる外国人観光客の増加で、国内の消費が活発になり地域の経済が潤うことです。
例えば、外国人観光客が日本のホテルに泊まったり、日本料理を楽しんだり、お土産を買ったりと、いろいろな場面でお金を使ってくれます。
観光客が増えると、それに関連する産業も成長し、新しい仕事が生まれやすいです。
インバウンド消費は、経済用語で「非居住者家計の国内での直接購入」と呼ばれ、国内総生産(GDP)の計算では輸出と同じように扱われます。
つまり、外国人観光客の買い物は、日本の製品を海外に売るのと同じくらい、日本経済にとって重要です。
インバウンドの現状と将来予測
2024年の訪日外国人客数は、前年に比べ38%も増加し、3450万人に達する見込みです。
これにともない、旅行消費額も前年比30%増の6.9兆円に到達すると予測されています。
さらに、2024年の訪日外国人消費額は年換算で7.2兆円に達し、過去10年間で実に5倍もの伸びを示しています。
個人レベルで見ても、訪日外国人旅行者1人あたりの消費単価が20.4万円となり、2019年の15.5万円から約30%も増加です。
中国からの観光客は、依然として日本のインバウンド市場において重要な位置を占めています。
円安という経済的な利点に加え、日本独自の文化的魅力が彼らを引きつける要因です。
結果、小売業やサービス業界では収益が増加し、関連する企業の株価も上昇傾向にあります。
インバウンドがもたらす経済効果
GDPに占める割合
2022年から2023年にかけて、日本のインバウンド消費は年率換算で3.7兆円も増加しました。
これは東京ディズニーリゾートの年間売上の約10倍に相当する規模です。
この期間中、日本の実質GDP(国内総生産)は1.5%成長しましたが、
そのうちインバウンド消費による押し上げ効果は0.7%ポイントにも達しました。
つまり、経済成長の半分近くをインバウンド消費が支えたことになります。
産業別の経済効果
インバウンド需要は、観光産業を中心に幅広い分野に波及しています。
具体的には、以下の産業が恩恵を受けています。
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- 観光産業:外国人観光客の増加により、観光地や文化施設の入場者数が急増。
例えば、東京スカイツリーの年間来場者数は、開業当初の2012年から2019年にかけて約20%増加しました。
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宿泊業:ホテルや旅館の稼働率が上昇し、特に人気の観光地では「満室」の看板を見かけることも珍しくありません。
2019年の東京のホテル稼働率は約85%に達し、新規ホテルの建設ラッシュも起きています。
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小売業:外国人観光客による「爆買い」でも知られています。
高級ブランド店や家電量販店では、免税販売が売上の重要な部分を占めるようになりました。
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飲食業:「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたこともあり、日本食を楽しみに来日する観光客が増加しています。
ラーメン店や寿司屋には、外国語のメニューを用意する店も増えてきました。
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交通業:新幹線や地下鉄、バスなどの利用者が増加し、交通機関の収益改善に貢献しています。
例えば、JR東日本の訪日外国人利用者数は、2015年から2019年にかけて約2倍に増加しました。
このようなインバウンドの経済効果は、単に一時的な消費増加にとどまりません。
地方の観光地の活性化や、多言語対応の促進など、日本社会全体の国際化にも大きく貢献しています。
インバウンド需要の変動要因
為替レートの影響
円安とは、日本円の価値が他の通貨に比べて下がることです。
これにより、外国人観光客は自国のお金でより多くの日本円を手に入れられるため、日本での旅行がお得になります。
実際、2012年から2015年にかけて実施された「アベノミクス」(安倍晋三元首相の経済政策)による円安の影響で、
中国からの観光客による「爆買い」という現象が起きました。
デパートの化粧品売り場や家電量販店が中国人観光客で賑わい、高額商品が飛ように売れたのです。
さらに、2023年にも円安が進行する中で訪日外国人旅行者数が急増しました。
免税店やブランドショップでは、観光客の長い行列ができる光景が日常的に見られるようになりました。
国際情勢や地政学的リスク
国際情勢や地政学的リスクは、旅行者の安全性への懸念を引き起こし、旅行先の選択に影響を及ぼします。
例えば、中東地域での紛争や東アジアでの政治的緊張の高まりは、その地域への旅行を躊躇させる要因です。
こうした状況下では、外国人旅行者の訪問が激減し、観光業界全体が冷え込んでしまうのです。
日本の状況に目を向けると、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、一時期は外国人観光客が途絶えるほどの打撃を受けました。
しかし、その後の国際情勢の安定化や円安の進行などが追い風となり、徐々に回復の兆しが見えてきています。
インバウンド関連企業への投資戦略
観光関連株の選び方
観光関連株は、国内外からの旅行者増加にともない、大きな収益の伸びが見込まれる投資先です。
具体的に投資家が押さえておくべき観光関連株のポイントは以下のとおりです。
- コロナ禍からの立ち直りが早い企業。例えば、国内旅行需要をうまく取り込んだホテルチェーンなどが好例です。
- 観光業だけでなく、小売業や飲食業なども視野に入れる。観光地に多店舗展開する飲食チェーンなども投資対象として考えられます。
- 政策の追い風を受けやすい企業。地域活性化に貢献する観光施設運営会社など。
- 自己資本比率(企業の総資産に占める自己資本の割合)や負債比率などを確認し、安定した経営基盤を持つ企業。
投資を検討する際は、これらのポイントを参考にしつつ、自身の投資方針や目標に合った企業を慎重に選んでいくことが大切です。
投資リスクと注意点
為替レートの変動や世界的な経済状況によって、訪日外国人数や消費額は大きく左右されます。
また、国内消費が低迷する中、インバウンド需要に過度に依存することは、経済の健全性を損なうリスクです。
具体的には、中国からの観光客増加が期待される一方で、中国経済の減速により、以前ほど自由に訪日できない状況も考慮する必要があります。
また、欧米からの観光客も、自国の景気動向によって旅行予算を縮小する可能性があります。
このような状況下での投資戦略はリスク分散を図ることです。
例えば、特定の国や地域に依存せず、多角的な事業展開を行う企業を選ぶことで、市場の変動に強い投資が可能になります。
まとめ
インバウンド需要は日本経済に大きな影響を与え、GDPの0.7%を占めています。
具体的に、成長と株価上昇が見込める関連産業は以下のとおりです。
円安と政策支援により、訪日外国人数と消費額は大幅に増加すると予想しますが、一方で為替変動や国際情勢などのリスク要因も存在します。
投資家は、多角的な事業展開を行う企業を選び、中長期的な視点でポートフォリオを構築しましょう。
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