グリーンエネルギー投資とは?個人投資家向けの投資戦略を解説!
しかし、初期投資の高さや制度変更のリスクに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、グリーンエネルギー投資の基礎知識から具体的な投資方法まで、幅広く解説します。
ぜひ参考にしてください。
グリーンエネルギーとは?
グリーンエネルギーとは、地球環境に優しく、持続可能な形で利用できるエネルギー源を指します。従来の化石燃料や原子力発電とは異なり、温室効果ガスや有害物質の排出がゼロ、もしくは極めて少ないことが特徴です。
主なグリーンエネルギー源は以下のとおりです。
- 太陽光発電:太陽の光エネルギーを直接電気に変換
- 風力発電:風の運動エネルギーを利用して発電
- 水力発電:河川や落差を利用して水の力で発電
- 地熱発電:地中の熱エネルギーを利用して発電
- バイオマス発電:植物や有機廃棄物を燃料として利用
グリーンエネルギーは環境保護と気候変動対策に貢献します。
再生可能エネルギーはCO2排出量を削減し、温室効果ガスを抑制し国内のエネルギー自給率と経済的競争力を向上させます。
なぜ今、グリーンエネルギー投資が注目されているのか
グリーンエネルギー投資が注目されている理由は以下のとおりです。
- 気候変動対策の緊急性
- エネルギー安全保障の強化
- 技術革新による経済的メリット
- 政府の支援策と規制強化
- 投資家のESG重視傾向
政府間では地球温暖化の影響が加速しており、早急な対策が必要不可欠だと言われています。
この状況に対応するため、世界各国でグリーンエネルギーへの移行が進んでいます。
化石燃料への依存度を下げることで、エネルギー供給の安定性が向上するでしょう。
さらに、再生可能エネルギーのコストが急速に低下し、経済的な競争力も高まっています。
多くの国が2050年までにカーボンニュートラルを目指すと宣言し、グリーンエネルギー推進のための政策を強化しました。
これに呼応するように、機関投資家を中心に環境・社会・ガバナンス(ESG)要素を重視した投資が増加しているのです。
グリーンエネルギー投資のメリット
グリーンエネルギーへの投資は、環境への配慮だけでなく、経済的な利益があります。次に、具体的なメリットを解説します。
化石燃料投資の約2倍の投資収益
グリーンエネルギー技術の急速な進歩と普及により、再生可能エネルギーのコストが大幅に下がりました。一方で、化石燃料は環境規制の強化や脱炭素化の流れにより、将来的なリスクが高まっているのです。
BloombergNEFの調査によれば、2022年の低炭素エネルギー技術への投資額は初めて1兆ドルを突破し、過去最高を記録しました。
同調査では、2022年の再生可能エネルギーへの投資が4,950億ドルに達し、化石燃料への投資を上回ったことが報告されています。
日本の事例を見ると、2022年の再生可能エネルギーへの投資額が前年比61%増の91億ドルに達したことがわかります。
この急増は、日本政府の脱炭素化政策と企業の積極的な投資姿勢を反映したものだといえるでしょう。
電力コストの削減
太陽光発電システムでは、昼間に生成される電力を自社や自宅で直接消費することで、外部からの購入電力量を大幅に削減できます。さらに、使用量を上回る余剰電力が発生した場合、これを電力会社に売却することで追加の収益を得ることも可能です。
グリーンエネルギー投資のデメリット
グリーンエネルギー投資には多くの利点がありますが、デメリットも無視できません。次に、具体的なデメリットを詳しく解説します。
高額な初期投資と維持費がかかる
太陽光発電や風力発電などの設備には、多額の初期投資が必要です。太陽光発電システムの設置には数百万円、風力発電所の建設には数十億円規模の資金が求められます。
さらに、これらの設備は定期的なメンテナンスや部品交換を要し、継続的な運用コストが発生します。
FIT制度の変更や卒FIT問題
FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーの普及促進を目的として2012年7月に日本で導入されました。FIT制度では、電力会社は太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーで発電された電力を、一定期間、固定価格で買い取ることが義務付けられています。
しかし、近年のFIT制度の変更により、投資環境に変化が生じています。
- 買取価格の低下:2024年には、50kW以上250kW未満の太陽光発電のFIT買取価格が9.5円/kWhから9.2円/kWhに引き下げ
- 全量売電制限:低圧太陽光発電における全量売電が制限され、新規投資の障壁
- 卒FIT問題:FIT期間終了後の運用計画が不透明になり、投資の魅力が減少。46.0%の所有者がFIT期間終了後に売却を予定している
これらの変更により、投資家にとっての収益性が低下しています。
自然環境に与える影響
風力発電所や太陽光発電所の設置には広大な土地が必要です。これが自然環境に少なからず影響を与える可能性があります。
具体的には、施設を建設するために森林伐採が行われ、地域の生態系が乱される恐れがあります。
風力発電所の建設が鳥類やコウモリの生息地を脅かすケースが報告されており、生物多様性の保全という観点から懸念が示されています。
グリーンエネルギー関連企業への投資方法
グリーンエネルギー企業への投資は、持続可能な未来への貢献と高い成長潜在性を兼ね備えています。次に、具体的な投資方法を解説します。
グリーンエネルギー関連ETF
グリーンエネルギー関連ETFは、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー企業に投資することで、セクター全体の成長に投資ができます。代表例として「ICLN」が挙げられます。
ICLNは、S&Pグローバル・クリーンエネルギー指数に連動し、世界中のクリーンエネルギー関連企業に投資するETFです。
太陽光発電や風力発電に関与する企業を含むため、長期的な成長を見込んだ投資が可能となります。
ブラックロック社が運用するICLNは、世界中のクリーンエネルギー関連企業98銘柄に投資しています。
流動性も高いため、コストを抑えつつ効率的な投資が可能です。
グリーンボンドへの投資
グリーンボンドは、環境配慮型プロジェクトの資金調達を目的とした債券です。環境改善に貢献しつつ安定したリターンを得られる投資手段として注目されています。
資金使途が明確にグリーンプロジェクトに限定され、高い透明性が確保されている点です。
発行体は資金の追跡管理を行い、発行後も定期的な報告を通じて投資家に情報を提供するため、投資家は安心して投資を行うことができます。
日本においても、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構や北陸グリーンボンド株式会社などが積極的にグリーンボンドを発行し、
都市鉄道の利便性向上や省エネルギー住宅の導入といった具体的なプロジェクトに資金を活用しています。
まとめ
グリーンエネルギー投資は、環境保護と経済成長の両立を目指す現代社会で注目を集めています。太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギーへの投資には、CO2排出量削減や電力コスト削減、エネルギー自給率向上などのメリットがあります。
一方で、高額な初期投資や環境への影響といったデメリットも存在します。
長期的な成長と持続可能性を重視する投資家にとって、グリーンエネルギーは魅力的な選択肢です。
ただし、FIT制度の変更や卒FIT問題など、投資環境の変化に注意が必要です。
個人投資家は、グリーンエネルギー関連ETFやグリーンボンドを通じてこの分野に参入できます。