インフレと株価の関係とは?インフレ時における投資戦略を解説

インフレが進行すると、物価上昇と共に株価も変動します。

多くの初心者投資家は、インフレが株式投資にどのような影響を与えるのか、どのような投資戦略が効果的かわからない人も多いかと思われます。
 
この記事では、インフレと株価の関係、インフレに強い企業の特徴、有利なセクターや銘柄、などを解説します。
 
株式投資を行う個人投資家や、経済動向に関心のある人、はインフレ時代の資産運用方法として参考にしてください。
 

インフレによる経済全体への影響

インフレーション(インフレ)とは、経済において物価が持続的に上昇する現象です。
 
適度に進行すれば経済成長を促進する一方で、過度に進行すると経済の不安定を招く可能性があります。
 
適度なインフレの場合は以下の現象が起こります。
   
しかし、インフレが過度に進行すると
 
 
過度なインフレは「ハイパーインフレ」と呼ばれ、経済に深刻な混乱を引き起こす可能性があります。
 
2000年代のジンバブエではハイパーインフレにより物価が急騰し、通貨の価値が大幅に下落しました。
 

インフレが株価に与える影響とは?

インフレが進行すると、物価が上昇し、企業は製品やサービスの価格を引き上げることが可能になります。
 
結果、企業の売上が増加し、株価の上昇につながります。
 
さらに、適度なインフレは経済活動を活発化させ、名目GDPを押し上げる効果があります。
 
株式はインフレに強い資産として知られており、インフレ時に株式資産を増やすことは資産運用において有利な戦略でしょう。
 
固定費が高く変動費が低い企業は、インフレによって売上が増加した場合、利益が大幅に増加する傾向があります。

これは、売上高と商品原価が同じ割合で上昇した場合でも、変動費が低い企業の方が利益増加幅が大きくなるためです。
 

インフレ時に株価が上昇する理由

次に、インフレ時に株価が上昇する理由を詳しく紹介します。
 

企業の収益が増加するため

物価上昇にともない、商品やサービスの価格が上昇することで、企業の売上と利益に好影響を与えます。
 
原材料費や人件費などの上昇分を製品価格に転嫁できる企業は、利益を維持または増加させる機会を得られるでしょう。
 

実物資産としての価値

インフレ期において、株式は実物資産としての性質を持つため、一般的に株価が上昇する傾向があります。  
企業が物理的な資産や事業を所有しており、これらの価値がインフレにともなって上昇するためです。

株は企業の所有権の一部を表すことから、インフレ時には株価も上昇する傾向にあります。
 
日経平均株価やS&P500といったインデックスに連動する金融商品を保有することで、インフレにおける株価上昇の恩恵を受けやすくなります。
 
実際、歴史的にS&P 500のようなインデックスは、インフレーション調整後のリターンが平均7.1%とされており、インフレーション時に価値を維持する能力を示しています。
 

金融緩和政策によって経済を活性化させる

金融緩和政策では、中央銀行が金利を引き下げたり資産を購入したりすることで、市場に潤沢な資金を供給します。
 
結果、低金利環境が生まれ、投資家の資金が株式市場へと向かう傾向が強まります。
 
企業は資金調達コストを抑えられるため、投資や事業拡大がしやすくなるでしょう。

消費者も借入れがしやすくなり、消費が増加します。これらの要因が相まって企業の売上が増加し、結果として株価の上昇につながります。
 
日本では2013年以降、アベノミクスの一環として日本銀行による大規模な金融緩和政策が実施されました。

日経平均株価は2012年末の約10,000円から2015年には20,000円を超える水準にまで上昇しました。
 

歴史的なインフレ時の株価の動き

1970年代のスタグフレーション期に、株式市場は大きな打撃を受けました。
 
インフレに弱いセクターの株価は大幅に下落し、投資家にとって厳しい時期でした。

株価下落の主な理由は、高インフレと経済成長の停滞が同時に発生したことにあります。
 
結果、企業の利益が圧迫され、株式市場全体が低迷しました。
 
1970年代のスタグフレーションは、2度のオイルショックによる原油価格の急騰が一因となっています。

消費者物価指数(CPI)が急上昇し、インフレが加速しました。
 
これを受けて、FRBによる利上げが行われたことで、株式市場はさらに圧迫されました。

小型グロース株は大暴落し、REITのチェース・マンハッタン・モーゲージは70ドルから4ドルにまで下落しました。
 

インフレに強いとされる株式の特徴

インフレに強い株式は以下の特徴を持ちます。
 
 
これらの企業はインフレ環境下でも利益を維持または拡大する力があります。
 
インフレ時には原材料や人件費の上昇が企業のコストを押し上げますが、価格転嫁力のある企業は製品価格に反映し、利益率を維持できます。
 
また、資源関連企業は資源価格の上昇から利益を得やすく、ブランド力のある企業は価格上昇に対する消費者の抵抗が少ないため、安定した収益を確保できると考えられています。
 
しかしながら、インフレ時に株価が物価上昇に追いつかない可能性や、配当利回りの実質的な低下が指摘されています。

それでも長期的な視点で見れば、インフレ耐性のある企業は市場シェアを拡大し、安定した業績を維持できるでしょう。
 

インフレ時に有利なセクターと銘柄

インフレ時には、以下のセクターが有利な立場にあります。
 
 
これらのセクターは価格転嫁が可能で、インフレによるコスト上昇を吸収しやすい特徴を持っています。
  特定の銘柄では、日本製鉄や住友金属鉱山、エクソン・モービル、シェブロンなどが注目されています。
 
インフレ時には、企業が原材料費や人件費の上昇に直面しますが、価格転嫁が可能な企業は収益を維持しやすい傾向があります。
 
エネルギーや資源関連企業は、原材料価格の上昇を商品価格に反映しやすく、収益を増やすことができます。

また、金融セクターは金利上昇により利ザヤが拡大し、収益を増やすことが可能です。
 

インフレが長期化する場合の投資戦略

インフレが長期化する場合、現金や預貯金の実質的な価値が低下するため、資産価値の目減りを防ぐ対策が必要です。
 
インフレが長期化する場合では、不動産や金、株式などのインフレに強い資産への投資が効果的な選択肢となります。
 
具体的な理由は以下のとおりです。
 
不動産:インフレが起こると価格が上がりやすく、資産の価値を守るのに役立ちます。
 
金:伝統的にインフレ対策として、物価上昇に連動して価格が上がることが期待されます。
 
株式投資:多くの企業はインフレ時に商品価格を引き上げることで収益を確保し、それに伴って株価も上昇する可能性があります。
 
ただし、これらの資産に投資する際は、分散投資の手法がおすすめです。

複数の資産クラスに分散して投資することで、リスクを抑えつつ資産を守ることができるでしょう。
 

まとめ

適度なインフレは経済成長を促進し、企業収益や株価を押し上げる傾向がありますが、過度なインフレは経済の不安定化を招きます。
 
株式はインフレに強い資産とされ、エネルギーや資源関連セクターが有利です。
 
ただし、1970年代のスタグフレーション時のように、株価が大幅に下落するケースもあります。
インフレ対策としては、株式や不動産、金などへの分散投資が効果的です。

それらを踏まえたうえで、インフレに負けない投資戦略を考えましょう。
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