普通株と優先株の違いは?優先株の種類と特徴を徹底解説!

「配当重視の株式投資を考えているが、議決権にはさほど関心がない」

このような考えから、優先株の存在を知った方も多いでしょう。
 
しかし、優先株の仕組みや普通株との違いについては、十分に理解していない投資家も少なくありません。
 
本記事では、優先株と普通株の基本的な相違点から、優先株の主な種類とその特徴まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

加えて、企業が優先株を発行する背景についても詳しく説明いたします。

ぜひ、参考にしてみてください。
 

普通株とは

普通株の所有者は、企業の重要な意思決定に参加する権利を持ちます。
 
具体的には、株主総会での議決権行使を通じて、取締役の選任や企業方針の決定に影響を与えることが可能です。
 
企業が利益を上げた際には、その一部を配当として受け取る権利も有します。
 

優先株とは

優先株とは、通常の普通株式に比べて特定の優先権が付与された株式です。
 
主な特徴として、配当の優先的な受け取りや、会社清算時の資産分配の優先権が挙げられます。
 
優先株は投資家に対して特定の利益を保証するために発行され、企業の資金調達を容易にする一方で、投資家のリスク軽減にも役立ちます。
 

優先株と普通株の違い

  優先株と普通株の主な違いは、配当や残余財産の分配における優先順位と議決権の有無です。

優先株は企業が資金調達を行いやすくするために設計された株式で、投資家に特定の優先権を与えます。
 
具体的には、優先株主は普通株主よりも先に配当を受け取る権利があります。

企業が利益を分配する際、まず優先株主に配当が支払われ、その後に普通株主への配当といった順番です。
 
また、企業が解散した際の残余財産の分配においても、優先株主が優先されます。

これにより、投資リスクが一定程度軽減されます。
 
優先株には通常、議決権が制限されることが多く、経営に対する影響力は普通株よりも小さくなります。

この特徴により、企業は支配権を維持しつつ資金を調達することが可能です。
 

企業が優先株を発行する理由

企業が優先株を発行する背景には、様々な戦略的意図があります。
 
ここでは、具体的に企業が優先株を発行する理由を解説します。
 

資金調達の効率化

普通株に比べて配当や清算時の優先権があるため、投資家にとってリスクが低く、安定したリターンを期待できます。
 
この特性により、企業は資金調達を迅速かつ効率的に行うことが可能です。
 
優先株による調達資金は、企業の成長や事業拡大に充てることができ、長期的には企業価値の向上につながります。
 

自己資本比率の向上

企業は優先株を発行することで、自己資本比率を向上させることができます。
 
これは優先株が会計上「資本」として認識され、負債としてではなく資本として処理されるためです。
 
この方法により、企業は資金調達の選択肢を増やし、経営の自由度を維持することができます。

負債を増やさずに自己資本を増加させることで、財務基盤を強化することが可能となります。
 
例えば、シダックスは優先株の発行を通じて自己資本を強化し、財務基盤を高めることに成功しました。

これにより、持続的な成長を目指すための運転資金を確保しました。
 

経営の自由度維持

優先株は通常の普通株と異なり、議決権が制限されていることが多いです。
 
これにより、経営陣は企業の意思決定においてより大きな自由度を持つことができ、経営の一貫性や長期的な戦略の実行が可能になります。
 

優先株5つの種類と特徴


優先株には様々な種類がありますが、主に5つのタイプが一般的です。
 
以下で詳しく、5つの優先株の種類と特徴を見ていきます。
 

参加型優先株式

参加型優先株式は、投資家に2重の配当機会を提供し、リターンを最大化できるため、特にインカムゲインを重視する投資家にとって魅力的です。
 
特徴は、優先配当を受けた後に普通株と同様の追加配当を受け取れることです。
 
具体的な利益分配の仕組みとしては、まず優先株主に対して投資額を分配し、その後、残りの利益を全株主で分配します。

これにより、優先株主は他の株主よりも優先的に利益を享受しつつ、普通株の配当も受け取れるというメリットがあります。
 
日本市場では参加型優先株式が一般的で、多くの企業で採用されています。

特にスタートアップ企業がM&Aを通じて成長する際に活用されることが多いです。
 

非参加型優先株式

非参加型優先株式は、優先的な配当を受け取る権利を持つが、普通株と同様の追加的な配当を受け取ることができません。
 
この特性により、発行企業にとって有利な資金調達手段となっており、企業は優先株主への支払いを一定額に抑えられるため、配当総額を管理しやすくなります。
 
同時に、投資家に対しては安定した利益を保証することができるため、双方にとってメリットがあります。
 
アメリカでは、このバランスの取れた特徴から、非参加型優先株式が比較的多く採用されています。

企業のコスト管理と投資家の利益確保を両立させる効果的な手段として広く認識されているのです。
 

制限参加型優先株式

制限参加型優先株式は、優先配当と普通配当の一部を受け取ることができる特殊な株式です。

この特徴により、投資家は安定した収益を確保しつつ、企業の業績向上による追加の利益も得られる可能性があります。
 
参加型と非参加型の中間に位置するこの株式は、両者のメリットを部分的に兼ね備えています。
 

累積型優先株式

累積型優先株式は、企業が一時的に配当を支払えない場合でも、その未払分が累積され将来的に支払われることを保証します。

これにより、長期的な投資の安心感が得られ、企業の業績回復時に累積配当を受け取る可能性があります。
 
この株式の特徴として、優先配当権に加えて、企業清算時の残余財産分配においても優先される権利があります。
 
近年、スタートアップ企業が累積型優先株式を発行するケースが増加しています。

これは初期段階での資金調達を容易にし、投資家に対して将来的な配当の確実性を提供する効果があります。
 

非累積型優先株式

非累積型優先株式は、企業が配当を行わない年度の未配当額が翌年度以降に繰り越されません。

これにより、企業は配当義務が軽減され、資金を柔軟に運用できる一方、投資家にとっては配当が保証されないためリスクが高まります。
 
この株式はスタートアップや成長企業で多く利用されており、これらの企業は配当を控えることで内部留保を増やし、事業拡大に必要な資金を確保しています。
 

優先株から普通株に転換できる

優先株は配当や残余財産の分配で優先権を持ちますが、通常議決権が制限されています。

これを普通株に転換することで、株主は企業の意思決定に参加できるようになります。
 
企業再生の場面では、財務状況の改善や投資家保護のため、優先株から普通株への転換が行われることがあります。
 
この転換により配当金が減少する可能性はありますが、議決権の獲得がそれを補う場合があります。

特に企業の成長が期待できる場合や、経営に影響を与えたい場合には、普通株保有の方が有利となることがあります。
 

まとめ

普通株と優先株の主な違いは、配当や残余財産分配の優先順位と議決権の有無です。
 
優先株は配当や清算時の優先権があり、企業の資金調達を容易にする一方、投資家のリスク軽減にも寄与します。
 
優先株には以下の5種類があります。
 

  1. 参加型
  2. 非参加型
  3. 制限参加型
  4. 累積型
  5. 非累積型

 
企業は優先株発行により資金調達の効率化、自己資本比率の向上、経営の自由度維持を図れます。
 
また、優先株から普通株への転換も可能で、株主の議決権獲得につながります。
 
投資家は自身の投資目的に合わせて適切な株式を選択し、企業の成長戦略や財務状況を慎重に検討しましょう。
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