ESG投資の魅力とは?メリット・デメリットやSDGsとの関係性も解説

環境や社会に配慮しながら利益も得たい。そんな思いはあるけれど、具体的にどう始めればいいのか分からない人もいるのではないでしょうか?
 
本記事では、ESG投資初心者の悩みを解決します。ESG投資とは何か、そのメリット・デメリットから、SDGsとの関係性、さらには日本の現状まで、幅広くかつ分かりやすく解説していきます。
 
持続可能な社会への貢献と、長期的な投資リターンの両立を目指すESG投資について、ぜひ本記事でご紹介する内容を参考にしてみてください。
 

ESG投資とは

ESG投資は、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3要素を考慮する投資手法です。

企業の長期的成長と持続可能性を重視するこのアプローチは、近年注目を集めています。
 
ESG投資が重要視される主な理由は以下のとおりです。
 
  1. 環境問題や社会課題の深刻化に伴う企業の社会的責任の増大
  2. 非財務情報が長期的な企業価値創造に不可欠という認識の普及
  3. 投資家のサステナビリティへの関心の高まり
 
ESG要素の考慮により、企業のリスク管理能力や成長機会の把握が可能になると考えられています。実際、ESGへの取り組みが優れた企業は長期的に高いパフォーマンスを示しています。
 

投資家から見たESG投資のメリット

ここから、具体的にESG投資のメリットを詳しく見ていきます。  

長期的なリターン向上の可能性

ESG重視の経営は企業の持続可能性を高め、長期的な安定成長を促進します。
 
環境・社会課題への取り組みは将来リスクの軽減につながり、長期的な収益性向上が期待できます。

さらに、ESG関連の技術や製品への社会的需要の高まりにより、この分野で成果を上げる企業への投資は長期的なリターンをもたらす可能性があるでしょう。
 

リスク管理の強化

ESGの観点から企業を評価することで、従来の財務分析では見逃されがちな潜在的リスクを特定・管理できるようになります。

環境規制や労務問題、不祥事などのリスクを事前に把握し回避することが可能です。
 
ESGリスクを適切に管理する企業は長期的な安定経営が期待でき、投資ポートフォリオ全体のリスク低減にもつながります。
 
実際に、気候変動リスクの評価やサプライチェーンにおける人権リスク特定など、ESG観点の導入により、従来見落とされがちだったリスクを管理できるようになった事例が増加しています。
 

社会貢献につながる

環境保全や気候変動対策、人権や労働環境の改善、透明性の高い企業統治を行う企業を支援することで、持続可能な社会の実現につながります。
 
たとえば、2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進める日本郵政株式会社へのESG投資は、環境問題解決への貢献となります。
 

投資家から見たESG投資のデメリット

次に、ESG投資のデメリットを具体的に解説します。  

投資先選定の難しさ

ESG評価基準は企業や評価機関によって解釈が異なることがあり、一貫性に欠ける場合があります。その結果、ある評価機関が高く評価している企業を別の機関が低く評価するといった矛盾が生じる可能性があります。
 
加えて、ESG要素は従来の財務情報とは異なる非財務情報が中心となるため、その分析や評価には専門的な知識や経験が必要となります。このため、一般の投資家にとっては、こうした非財務情報を適切に分析・評価することが困難な課題です。
 
近年では「グリーンウォッシュ」と呼ばれる問題も浮上しています。グリーンウォッシュとは、企業が実際の環境への取り組みよりも、環境に配慮しているように見せかける広報活動や情報開示を行うことを指します。
 
たとえば、わずかな環境配慮の取り組みを大々的に宣伝したり、環境に有害な事業を隠蔽しつつ環境にやさしいイメージを前面に出したりする行為がこれに該当します。

このような偽装的な行為の存在により、真に持続可能な経営を行っている企業を見極めることがますます複雑になっています。
 

運用コストの増加

ESG投資においては、企業の非財務情報を詳細に評価することが不可欠です。

この評価手順には、環境への配慮、社会的責任、そしてガバナンスの質といった要素を分析するための専門的な調査が含まれます。
 
従来の財務情報に基づく投資手法と比較すると、これらの追加的な分析や調査には相当のリソースと専門知識が要求されるため、必然的に運用コストの増加につながります。
 

ESG投資とSDGsの関係

SDGsは国連が定めた17の持続可能な開発目標であり、ESG投資を通じてその達成に貢献できます。

ESG投資は企業のサステナビリティを重視するため、ESGの要素を考慮した経営を行う企業は長期的視点で社会課題の解決に取り組みます。結果的にSDGsの目標達成につながるでしょう。
 
環境(E)に配慮した経営を行う企業への投資は、「気候変動に具体的な対策を」というSDGsの目標達成に寄与します。同様に、社会(S)に関する取り組みを評価した投資は、「ジェンダー平等を実現しよう」などの目標達成を促進します。
 
具体例として、環境負荷の小さいパッケージの開発・提供が挙げられます。これは消費者の利便性を損なうことなく脱炭素社会の実現を目指す重要な事業であり、ESGの「E」とSDGsの複数の目標に同時に貢献します。
 

日本におけるESG投資の現状

日本のESG投資は近年急速に拡大しているものの、欧米と比較すると依然として発展途上の段階にあります。この遅れの主な要因として、投資リターンへの懸念、ESG基準の不統一、そして専門人材の不足が挙げられます。
 
多くの機関投資家は、ESG投資が十分な収益を生み出せるかどうかを危惧しており、特に2022年のウクライナ侵攻以降、エネルギー関連企業の株価上昇がこの懸念を助長しました。
 
また、ESGに関する統一的な基準が確立されていないことも、投資家の判断を複雑化させています。企業や業界ごとにESGへの取り組み方や評価基準が異なるため、投資判断に困難を来しています。
 
ESG投資には幅広い知識と専門性が要求されますが、日本ではそうした人材が不足しており、2023年の調査では22%の機関がESG専門部署や専任担当者を持たないという結果が出ています。
 
しかしながら、日本のESG投資市場は着実に成長を続けており、2024年の国内サステナビリティ/ESGサービス市場は前年比17.8%増の2,310億円に達し、2028年には3,772億円規模に拡大すると予測されています。

これらの課題を克服しつつ、日本固有の強みを活かしたESG投資の更なる発展が期待されています
 

まとめ

ESG投資は、環境・社会・ガバナンスを重視する投資手法として注目を集めています。
 
長期的なリターン向上の可能性やリスク管理の強化、社会貢献といったメリットがある一方で、投資先選定の難しさや運用コストの増加というデメリットも存在します。
 
SDGsの達成にも寄与するESG投資は、日本でも急速に拡大していますが、欧米と比べると発展途上の段階です。統一基準の確立や専門人材の育成が課題となっていますが、2028年には国内市場が3,772億円規模に成長すると予測されています。
 
持続可能な社会の実現に向けて、ESG投資への理解を深め、適切な投資判断を行うことが重要です。まずは、自身の投資方針にESGの観点を取り入れることから始めてみましょう。
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