利益確定のタイミングとは?売却する判断基準などを徹底解説
利益確定のタイミングに悩む投資家は多いものです。
早すぎる売却で大きな利益を逃すリスクがある一方、売り時を逃して含み益が消えてしまう可能性も。
この記事では、利益確定のタイミングを見極めるポイントや、そのメリット・デメリットを詳しく解説します。
さらに、利益確定後にかかる税金の仕組みについても触れていきます。
この記事を読むことで、あなたの投資スキルが向上し、より効果的な資産運用が可能になります。
投資の成功は適切な利益確定をするタイミングにかかっています。
ぜひ本記事で紹介する内容を参考にしてみてください。
利益確定とは?
株や債券、外貨など金融資産の価値が上昇したとき、それらを売却して利益を手にすることを利益確定と呼びます。この行為によって、評価上の利益(含み益)を実際の収益として手元に残すことができるのです。
投資家の間では「利食い売り」という言葉でも知られています。
利益確定のメリット
利益確定にはさまざまなメリットがあります。ここからは、具体的なメリットを解説します。
確実に利益を確保できる
利益確定を行うことで、市場の変動に左右されることなく、投資の成果を現金として手元に確保できます。さらに、先行きが不透明な相場環境や予期せぬリスクから身を守ることも可能になるでしょう。
投資のリスクを軽減できる
市場価格が上昇し、望ましい利益が出た時点で売却することで、資産を守ることができます。相場は常に変動しており、予期せぬ下落に見舞われる可能性もあるでしょう。
そのため、利益確定をタイミングよく行えれば、リスクを抑えつつ収益を手元に残すことができます。
利益確定のデメリット
利益確定にはメリットだけでなく、デメリットもあります。適切な判断を下すためには、これらのデメリットをよく理解しておく必要があります。
再投資と複利効果の機会が失われる
複利効果とは、得た利益を元本に加えて再投資することで「利益が利益を生む」現象を指します。長期的な資産運用において、複利効果は資産を大きく増やすための強力な方法です。
しかし、利益確定を行うと、再投資に回らず運用元本が減少してしまいます。
これにより、将来的に得られる利益も減少し、複利効果が薄れる可能性があるでしょう。
利益を出すタイミングが難しい
市場動向の正確な予測は、専門家でさえも予想するのは難しいです。株を売却した後に価格が上昇するケースも少なくありません。
利益確定により確実な収益を得られる一方で、長期的な収益機会を逃す可能性も高くなります。
市場が短期間で急激に上昇する局面は予見が難しく、このタイミングを逃すと長期的な収益の大部分を失ってしまうかもしれません。
機会損失のリスク
現在の利益を確保できる一方で、将来のチャンスを逃す可能性があるからです。市場が上昇しビジネスが拡大すれば、より大きな収益を得られたかもしれません。
こうした機会損失は、企業の成長や長期的な収益に悪影響を与えることがあります。
どのタイミングで利益確定をしたらよいか?
ここでは、具体的にどのタイミングで利益確定をしたらよいのか詳しく解説します。目標金額に達したとき
目標金額で利益確定することは、感情に左右されずに冷静な判断ができます。「もう少し」という欲が出てきても、計画通りに利益を確定できるからです。
市場は予想外の動きを取るため、今は上がっていても、明日急に下がるかもしれません。
そのため、目標に到達したら素直に利益を受け取ることで、思わぬ損失を防げます。
気をつけるべきは、企業の決算発表や経済指標の発表前です。
こういった出来事で相場が大きく動くことがあるので、発表前に利益を確定させておくのがおすすめです。
基準価額が値上がりしたとき
「購入価格から10%上昇したら売却する」といったルールを自分で決めておくと、感情に左右されず計画的に利益を確定できます。また、チャート分析も有効な手段です。
出来高やローソク足、移動平均線などのテクニカル指標を活用すれば、より適切な売却タイミングを見極めやすくなります。
成長が見込めないとき
市場や企業の成長見込みが下がってきたら、利益確定を考えてみましょう。会社の業績悪化や、市場全体が落ち込みそうな時は、早めに株を売って、これから伸びそうな別の銘柄に乗り換えるのもおすすめです。
経済情勢の悪化
経済の悪化は、連動して企業の業績悪化にもつながり、株価が大きく下がりやすいです。例えば、輸入品の価格が上がったり、働き手が減ったりすると物価が上昇します。
そうなると、アメリカの経済が落ち込み、各国からアメリカへの輸出にも悪い影響が出ると予想されています。
こういった状況では、企業の儲けが減り、株価が下がるリスクが高くなるため、
経済の不確実性が高まる時期は、投資家にとって利益確定するタイミングです。
ライフイベントでお金が必要なとき
人生には様々な大きなイベントがあり、それぞれに多額の費用がかかります。これらの支出を円滑にカバーするためには、事前に資金を確保することが大切です。
ライフイベントと平均的な費用は以下のとおりです。
- 結婚:結婚式と披露宴で約469万円
- 出産:入院料や分娩料を含めて約50万円〜70万円
- 住宅購入:建売住宅:約3,719万円:マンション:約4,848万円
- 子供の教育費(幼稚園から高校まで):私立の場合:約1,830万円
- 老後の生活(夫婦高齢者無職世帯):標準的な生活費:月約27万円
これらの費用を見ると、ライフイベントには予想以上にお金がかかることがわかります。
そのため、資金準備の方法として、投資による利益確定が効果的です。
利益確定後の買い戻しはおすすめしない
利益確定のために株を売却した後、同じ株を買い戻すことは一般的におすすめできません。なぜなら、税金や手数料の負担が増えるためです。
売却と買い戻しの度に取引コストがかかるため、結果的に利益を減らしてしまうことにつながります。<
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売却後の買い戻しタイミングは非常に難しく、心理的な負担も大きくなります。
市場の動きを正確に予測することはほぼ不可能なため、高値で売却して安値で買い戻すという理想的な取引を繰り返すことは、現実的ではありません。
利益確定にかかる税金
利益確定をした場合の税金は「譲渡所得税」と呼ばれ、税率は20.315%です。内訳は、所得税が15%、住民税が5%、そして東日本大震災からの復興のための復興特別所得税が0.315%となっています。
例えば、100万円で購入した株式を120万円で売却したとします。
この場合、売却価格から購入価格を引いた20万円が利益(譲渡益)です。
この20万円に対して20.315%の税金がかかるので、支払う税金は約4万630円になります。
まとめ
利益確定とは、金融資産の値上がり時に売却して利益を確保しておくことです。メリットとして確実な利益確保とリスク軽減がありますが、複利効果の機会損失というデメリットもあります。
利益確定のタイミングには、以下が挙げられます
・目標金額達成時 ・経済情勢悪化時 ・ライフイベント時
利益確定時には20.315%の税金がかかることに注意が必要です。
投資家は自身の目標や市場状況を考慮し、慎重に利益確定のタイミングを見極めることが重要です。
長期的な資産形成を目指す場合は、頻繁な売買を避け、定期的にポートフォリオを見直すことをおすすめします。
投資戦略を立て、計画的に資産運用を行いましょう。