米国のソフトランディング局面で業績が伸びる日本企業の特徴

ソフトランディングとは、米国経済が景気後退に陥ることなく、インフレも上手にコントロールできている「安全な着陸」状態のことです。
 
この状態では、以下の特徴的な経済現象が見られます。
 
 
過去のデータを見ると、こうした「安全着陸」の時期には株式市場が年平均で15〜20%も上昇しています。
 
本記事では、投資家にむけて、米国経済が「安全着陸」している時期に、どんな日本企業が業績を伸ばす可能性が高いのか、解説していきます。
 

ソフトランディングとは|経済を安全に着地させること

ソフトランディングは「経済が景気後退(不況)に陥ることなく、インフレ(物価上昇)も抑えられている理想的な状態」です。
 
要するに、中央銀行が経済の熱を冷ますために行う政策がうまくいった結果です。
 
とりわけ、金利の調整は絶妙なタイミングと幅が重要なため、うまくいけば「物価の安定」と「雇用の維持」2つの目標を同時に達成できます。
 

ソフトランディングの時における経済の特徴

 

経済成長は緩やかになり、プラスの状態を維持

景気がゆっくりと成長し続けている背景には、アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が段階的に金利を下げていることが挙げられます。
 
また、企業や家計が借金の管理を上手くできるようになってきたことも大きいです。
 
FRBは物価の上昇(インフレ)を抑えることを最優先にしながらも、雇用の安定も大切にするバランス感覚のある政策を進めています。
 
企業側では、過去に金利が上がっていた時期に、金利が変動しない固定金利の借入れを増やしていたため、金利上昇による支払い負担が急に増えることを避けられています。
 

物価下落なしに、物価上昇率が落ち着く

ソフトランディングでは、高くなりすぎたインフレ率が、ちょうどいい水準にゆっくりと落ち着いていきます。
 
なぜなら、急に物価が下がってしまうと、今度は「デフレ」という別の経済問題を引き起こしてしまう可能性があるからです。
 
アメリカの中央銀行をはじめ、世界の中央銀行が目指しているのは、だいたい2%くらいのインフレ率です。
 
インフレ率2%は、経済がしっかり成長しながらも安定して続けられ数字とされています。
 
2024年のアメリカ経済を見てみると、7月から9月の3ヶ月間(7-9月期)のGDP価格指数、は前年と比べて2.2%上がっただけで、FRBが目標にしている2%にかなり近づいています。
 

大規模な失業を避けながら、雇用増加が続く

通常、インフレを抑えるために金利を引き上げると、景気が後退して失業が増えてしまうものです。
 
今のアメリカでは、求人数は減っているのに、失業率はあまり上がらず、新しい雇用も生まれ続けています。
 
まず、コロナ禍の経験が企業の考え方を変えました。
 
一度スタッフを解雇してから、再び人を雇おうとした時に「人が集まらない…」と苦労した企業が多かったんです。
 
この経験から、「今いる人材は大切にしておこう」という慎重な姿勢が広がりました。
 
また、「雇用のミスマッチ」が徐々に解消されてきたことも大きいです。
 
つまり、働く人たちが自分に合った職場を見つけやすくなり、労働力の再配置がスムーズに進んでいます。
 

過去のソフトランディング事例と市場パフォーマンスの関係

過去に経済のソフトランディングに成功した時期を見ると、株式市場が上昇傾向を示していることがわかります。
 
この状況では投資家の心理も前向きになりやすいです。
 
実際のデータを見ても、S&P500種株価指数(アメリカの代表的な大企業500社の株価指数)はソフトランディング期に平均して年率15〜20%も成長しています。
 
注目したいのは1990年代半ばの事例です。
 
この時期はインターネット技術が広く普及し始め、それによって生産性が向上したことがソフトランディングを支えました。その結果、S&P500は1995年に約20%も上昇しました。
 

米国のソフトランディングが日本企業に与える影響

 

対米輸出に依存する日本企業の業績が安定

米国経済が「ソフトランディング」を実現できると、対米輸出に頼っている日本企業にとってはメリットがあります。
 
なぜなら、米国経済が極端に冷え込むことなくインフレが落ち着いていけば、日本からの製品に対する需要も安定して維持されやすいからです。
 
最近の米国では、外国人労働者が増えていることで人手不足が緩和され、また物やサービスの供給がスムーズになってきています。
 
こうした変化がインフレの圧力を和らげる要因となっているのでしょう。
 
さらに、世界的な原材料や資源の価格(国際商品市況)も比較的安定してきており、これが経済の持続的な成長を支える土台になっています。
 

日本株式市場にもポジティブな影響

「ソフトランディング」では。世界のサプライチェーン(製造から消費者に届くまでの流れ)の安定化と消費需要の維持に貢献しています。
 
この状況では、日米の金利差が徐々に縮小していくため、円相場も急激な変動を避けられやすいです。
 
とりわけ、米国市場への依存度が高い産業が恩恵を受けやすく、電機メーカーや自動車メーカーはその代表例といえます。
 
具体的には、以下の効果が期待できます。
 
 
さらに、企業の業績向上が従業員の賃上げにつながれば、インフレを上回る実質所得の増加が起き、国内消費が拡大する好循環も期待できます。
 

ソフトランディング時に強い日本企業

 

海外向け製品を扱う企業

経済の減速が緩やかな時期でも、技術力や品質管理に優れた日本企業は、海外でも高く評価される傾向にあります。
 
実際、世界市場で成功を収めている日本企業は、こういった強みを持っています。
 
アイリスオーヤマは「現地生産・現地販売」という考え方を徹底して、Amazonなどのオンラインショッピングモールで販売網を築いています。
 
次にトヨタ自動車では、それぞれの国や地域の特性に合わせた研究開発を行うことで、市場でのシェアを着実に獲得しました。
 

IT・先端技術関連の企業

米国経済がソフトランディングを迎えている今、AI・クラウド・半導体技術に強みを持つ日本企業に注目できます。
 
この状況では、富士通や日立製作所などの大手IT企業は安定した成長が見込めそうです。
 
なぜなら、これらの企業がAIソリューションの開発やクラウドサービスの拡充に力を入れている点です。
 
 
また、日本のスタートアップ企業も見逃せません。半導体のサプライチェーン(供給網)が世界的に再編される中で、新たなビジネスチャンスをつかんでいます。
 

まとめ

米国経済のソフトランディング(景気の急激な後退を避けつつ、インフレを抑制する穏やかな景気減速)の局面では、以下の日本企業が伸びやすいです。
 
 
実際、過去のソフトランディング成功時には、株式市場が上昇し、米国の代表的な株価指数であるS&P500は年率15〜20%も成長しました。
 
今後の見通しとしては、米国の安定した経済成長が日本からの輸出製品への需要を維持してくれるでしょう。
 
これからの市場環境は、適切な銘柄選びができれば大きなリターンが期待できる絶好の投資機会と言えるでしょう。
 
しかし、4000以上ある銘柄の中から将来有望な銘柄を見極めるには、専門的な知識と経験が必要です。
 
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